大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
ごた(狡猾、ずるい事) |
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私:急に飛騨方言名詞「ごた」を思いだした。十年以上前の記事だろうか。穴が有ったら入りたい。 君:違う語源説を思いついたのね。 私:全国共通方言。各地の方言。意味も様々。音韻変化も各種。実にとりとめのない言葉だ。アクセントは尾高。これが決め手、つまりは「ごたく御託(平板アクセント)」から「く」が抜けたものだろうね。本邦初公開情報だろう。「ごたく」自身も小学館日本方言大辞典の見出しにある。「ごた・ごたく」共に良い意味が全く無し。共通語でも「プーチンが御託を並べる」の例を挙げるまでも無く悪い意味。飛騨方言で気になるのが自ラ五(自動詞ラ行五段)「ごたきる(無駄話をする)」。名詞「ごたく」に接尾語「る」で「ごたくる」になり、やがて「ごたきる」になったのでは、などと考えてしまう。文法論的には形動タリ「ごたです」が成立、つまりは「ごた」は体言。ごたくは「御託宣」の事、託宣は神のお告げ、ここまで来ると今昔の文例がある。名・動サ変「託宣」は、神が人に乗り移ったり、夢の中に出現するなどして、人に伝える意思。和語かな。 君:飛騨方言では「そんなことはない」という意味で「そんなごたない」と言うけれど、アクセント学的にに不合理である事に気づいたのね。 私:そう。飛騨は東京式アクセントなので「事」は頭高、従って「ことは(ごた)」も頭高、つまりは名詞「ごた」とあべこべ。だから、語源ではありえない。繰り返しますが、穴が有ったら入りたい。 君:十年であなたがどう変わったか簡単に紹介してね。 私:特にこの三年間です。方言関係の辞典をほとんど集めた。アクセント学の専門書も随分と読んだ。金田一春彦先生の仰りたい事が少しずつ理解出来て来た。決め手は小学館日本方言大辞典かな。全国のありとあらゆる方言が記載されている。これらを眺めると見えてくる世界がある。 君:・・という御託を並べた左七が「ごた」の語源を遂に発見。ほほほ |
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