大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ほかる

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飛騨方言に「ほかる」というラ行五段動詞がありますが、中部地方でよく話される言葉です。不肖の左七辞書に以前に語源については少しお書きしています(ここ)。意味は、捨てる・放っておく、ですが、岩波古語辞典で語源について深堀りが出来ました。語源は、ほかし[放下し]【四段】<ハウカ(放下)シの転>ですが、実はそもそもが★「はうか」[放下]という名詞が存在したようです。「はうげ」とも読むそうですが、・・・もと禅宗で、一切を放下(ほうげ)した僧、との事でした。後、鎌倉時代末・南北朝の頃、彼らの中から現れた異端の芸能者。髪を剃らず烏帽子をかぶり、異様な姿をして、手に小切子(こきりこ)・編竹(さざら)等を弄びながら、街頭で滑稽な歌舞・曲芸を演じた。・・・との記載があります。

放下した者を★★「はうかし」[放下師]、★★「はうかそう」[放下僧]とも呼び、また、そのように仏門を放棄する、というような意味で、★★★ほかし[放下し]【四段】という動詞も登場し、近世では、★★★★ラ行五段で「ほかる」に変容したとう事のようですね。意味は一貫して「捨てる」だったようです。

話が変わって、初等教育や中等教育で方言がどのように扱われているのか、私の小中時代(1961-9)と異なり、世の中では少しばかり方言教育が取り入れられてきたようですね(【補充教材】方言と共通語)。他には教材「方言のクッション」とか。これも、いやあ、先ほどまで知りませんでした。実は本日の原稿は、この補充教材サイトの国研方言地図が目に留まったのが先で、そういえば飛騨地方は「ほかる」地方だったっけな、と思い出して、俄然、語源を深堀りしてみたくなったから、という事なのでした。

ついでですから放下師の画像も検索してみましょう。


続いては動画です。なにせ我が家はお東さんなので、私の読んでいるものと言えば教行信証・真宗経典(大無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経)のみです。要は漢文です。漢文がお好きでないかたは手塚漫画・ブッダ全巻をお読みになれば大無量寿経の内容を知る事が出来ます。さて、私は禅宗については門外漢に等しく、世界で愛されている禅の教えですから、これを機会に、一日本人として、すこしずつでも禅宗について学びたいという気持ちになってきました。私は今、ちょっぴり幸せな気持ちです。

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