大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

しんがい(新開)は英語みたいなもの

戻る

私:いつもの事だが、小事に大変に悩んでいる。
妻:うそおっしゃい。何かネタをみつけて、いそいそと。今日の表題はなによ。まるでチコちゃんがいきなり答えを言うみたいな書きぶりで。
私:そうだね。わざと答えを表題にした。そのほうが読者の皆様にインパクトがあると思って。さあ英語のオンパレードで行くぞ。
妻:答えじゃなくて、そもそもの問題を提示してね。その前に、もう一度「しんがい」の説明お願いね。
私:オーライト。このサイト、ワン・トピック、ワン・アーティクルがモットーだからね。「新開って何語?」
妻:日本語に決まってるわよ。鎌倉時代の。吾妻鏡でしょ。
私:ふふふ、スーパーフィッシャルなアイデアだ。ヒントはアブロード。
妻:でも新開の語源が英語の訳ないわよ。
私:ふふふ、トゥデイズ・トピックは「シンガイはイングリッシュ・ライク。」つまり、ノット・イングリッシュ。ふう、和製英語もタイヤリングだな。
妻:語源が英語でない外来語とは、・・・わかった!中国語だわ。鎌倉時代或いはそれ以前に輸入されたのね。
私:ふふふ、ご名答、残念ながら私は中国語の学者ではない、だが然し、ネット検索が好き。
ー走定居在没有主人的新開的土地上的人。所有者のない新開拓地に定住する人を追い払う。 - 中国語会話例文集
対新開塁的土地、五年内不納税、不提留。新規開墾した土地は5年以内は納税せず内部蓄積をしない。 - 白水社 中国語辞典
つい先ほどWeblio辞書を調べた。新開は中国語の現代語だし、土地のへそくりの意味だ。吾妻鏡の時代から本家中国では意味がブレていない。Weblio辞書では上記の文章の発音すら聞く事ができる。便利な世の中になったものだね。新開の発音は「シンファーイ」だ。専門外なので中国における一千年の発音の変遷まではわからない。ところで六書でいうと、新開はなんだっけ?
妻:音だけが日本では「シンガイ」「シンカイ」になったのだし元々は中国語の「シンファーイ」が輸入されたのだから転注なのでしょ。
私:或る意味ね。実際は違うな。意味も表記も同じの「新開」が鎌倉時代以前に輸入されたのだから、当時の日本人は発音を輸入したんじゃない。意味と表記の両方をセットで輸入したんだよ、だから、こうなると「新開」は象形・指事・形声・会意なんだよ。
妻:あなた、よくそんな事に気づくわね。
私:アマチュアの悲しいところで間違っている可能性もある。が然し、私の名誉がかかっている、とだけは記載しておこう。
妻:あなた、自信をお持ちになって。きっとあってるわよ。
私:いやあ、君にはいつも励まされるな。人生観が同じであるとひしひしと感ずる。だから本日の表題は、「新開は何語?答えは中国から輸入された外来語」という事。岩波古語を編集なさった大野晋先生にお尋ねしたくてしかたがない。
妻:大野先生ならタミール語が由来かも、とおっしゃるわよ。
私:そういうお方だからなあ、やはり質問するのはやめとくか。
妻:ところでどうして「英語みたい」にしたわけ?
私:おいおい、君もチコちゃんの言いぐさの真似か。理由はね、英語が唯一の国際的な学術語だからだ。
妻:そうね、何かいい日本語がみつからないと「アジェンダ」とか「インセンティブ」とかマスコミが使うわね。鎌倉時代は中国語が日本にとっては国際学術語だったのよね。
私:まさにその通り、上代から江戸時代まで外国語と言えば中国語だったんだ。漢字がアジアを支配した。漢詩漢文の素養が知識人の指標だった。私の心の彼女・清少納言は白楽天その他、すべてを暗記していたらしいぜ。
妻:近世まで日本の知識人は中国に憧れていたのよねえ。今は猫も杓子も米国留学だわ。
私:ああ、しがない町医者だから僕は猫か杓子だ。
妻:あら。ごめんなさい。そういう意味じゃなくて。子供たちの事よ。
私:それも問題発言だな。あの子達だって必死で医学研究をしたご褒美なんだから。
妻:留学そのものが目的で語学留学なさる方々が問題よね。
私:ああ、そうだ。英語は手段であって目的ではない。断じて言える事だ。語る内容が第一に問題だ。人は中身が大切。英語が流暢かは医学研究者の本質では無い。
妻:益川敏英先生を引き合いに出すまでもなく。私の実家のお近くのかたなのよ。
私:そうなのか。そうは言ってもね、医者たる者はThe Chicago Manual of Styleくらいはマスターしておかないと。
妻:あなた、米国留学をマウントしすぎ。米国人でも難しい内容だわよ。

ページ先頭に戻る