大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

飛騨人が泣けてまう言葉・単線

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JR高山線に関して・電化ディーゼル車通勤の言葉が 気になる事をお書きしました。さて、高山線は未だに単線なのですが 飛騨の山間、特に中山七里、久々野町の渚駅界隈、また角川から猪谷に至る区間は トンネル、橋、の部分以外は断崖にへばり付いて走っている 状況ではおいそれと複線化は出来ませんね。 技術的に困難でしょうし、飛騨全土の人口が十六万そこそこで、 また高速道路が完備しつつある現在、既に陸上交通の首座を 奪われている感がします。 2004年10月の台風23号による水害で、2006年現在、不通区間があり 復旧工事が遅れている事も痛恨の極みです。

鉄道マニアではないので詳しくは知らないのですが、 日本の山間の鉄道はやはり単線が多いのでしょうね。 濃尾平野の片田舎にいますが、名鉄は全線が複線でしょうか。 そういえば美濃太田・多治見間を結ぶ太多線(たいたせん)も単線です。

さて昔、貧乏学生の時ですが、高山線の行き来は必ず鈍行でした。 たかだか百キロの飛騨と美濃の間を三・四時間かけての小旅行です。 時間ならたっぷりある学生の特権と申しましょうか、 その日のうちに名古屋に着くのなら運賃は一円でも 安いほうがいいに決まっています。 時間がかかるのは単線ゆえ、 唯でさえ遅い鈍行が、駅に着く毎にじいっとしているのですね。 反対車線や後続の特急・急行などに同駅通過を譲っておもむろに出発進行です。

時間がかかる事も然る事ながら、いろいろと苦労の多い 鈍行の旅です。

ひとつにはすわり心地、背が垂直で、狭いので のんびりと寝ていく事はあきらめなければなりません。

いやがおうにも四人座席で膝をつきあわせての旅で 対人恐怖症の方向きではありません。 もっとも美人がお隣の事もあり、そんな時は ああ今日、この鈍行に乗ってよかったと思えます。 彼女が先に下車して、そこへ鬼瓦のような おばさんが座るとやはり今日のこの鈍行を後悔します。

満員乗車で折角、座れていてもトイレに行きたくなると 最悪です。何せすべて自由席、つまりは席を放棄しなくては なりません。中には図々しい人もいて、周りをにらみつけて 席に自分の物を置き、用を足しに立つのですが、 やはりマナー違反ですね。 自由席のルールを守っていただきたいものです。

まだあります。半日の旅なので食事の準備が肝要です。 勿論、鈍行に車内販売はありません。 お袋が作ってくれたお握りを恥ずかしそうに ぱくつくか、銭が惜しいから鈍行に乗ったのに 食い意地がはっていて駅弁を買うか、じっと 空腹に耐えていくか、少しばかり迷う旅です。
おまけ
信じられない話と思われましょうが、こんな事もありました。 高校の修学旅行に先立ち担任のガイダンスです。 "君達の通学列車は駅で五分も十分も 停車しているから、今度の修学旅行で乗る特急は大きな駅で二十分も 三十分も停車しているかも、とかってに想像してはいけない。 特急が大きな駅で停車するのはせいぜい数分、 途中駅でうっかり下車したら置いていかれるぞ、 だから目的地の駅までは絶対に列車を離れるな。 目的地に近くなったら降りる準備を怠るな、でないと 降り損ねて大変な事になるぞ。"、と。 (の事前の注意にも関わらず、降り損ねた者がでてしまったのです。 嗚呼、彼こそ真の田舎の高校生。)

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