大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム しびれる言葉

カミオカンデ

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故小柴先生の記事、見えないものを見る、の記載の通りですが、カミオカンデの名前の由来は Kamioka + Nuclear + Decay + Experiment 核子崩壊実験から来ているようですね。神岡における核子崩壊実験(=カミオカンデ)という訳です。情報源は日本学術会議です。未来を担う子供たちに科学に興味を持ってもらおうと、かみ砕いた内容で記載してありますが、とっくに還暦を過ぎた医者にとっては読みやすさは丁度良いかげんでした。

実は、私が大学で心臓核医学という学問をやっていたのがざっと四十年ほど前でした。ある程度は関連する学問です。心臓核医学とは、放射性同位元素というお薬から発するガンマ線という生体には無害の極微量の放射能をガンマカメラという器械を用いて心臓の病気の診たてをする検査法です。核医学検査のご案内(日本メジフィジックス)などもご参考までに。私も小柴先生と同じく、浜松フォトニックスにお世話になった、と一言、書いておきましょう。

話は戻りますが、一般的な日本人の国語感覚としては、カミオカンデはニュートリノ発見の実験を示すというよりは神岡町のあの地下施設を示す、と感じるのではないでしょうか。我が町・神岡にはカミオカンデがある、等々。となれば、 Kamioka + Nuclear + Decay + Equipment でもよいような感じもします。equipment / tool / facility / machineの意味の違いなどもご参考までに。ただし、ここで直ちにナンセンスとなるのが Decay + Equipment。勝手に崩壊するのであって、崩壊させる装置ではありませんので、崩壊を検知する装置という意味で、neutrino + detection + equipment としたほうがスマートではないでしょうか。根拠をひとつお示ししますと、日経記事2019/8/31の記事を紹介しましょう。・・・ノーベル物理学賞受賞を生んだ「カミオカンデ」と「スーパーカミオカンデ」に続く新しい観測施設「ハイパーカミオカンデ」の建設が2020年度に始まる。宇宙に物質が存在する理由や、万物の「寿命」にかかわる根源的な謎に迫る。日本の「お家芸」といわれる素粒子物理学の分野で、三たびノーベル賞級の成果を狙う。・・・文面では実験ではなく施設を示しています。

偉大な実験・カミオカンデなのか、偉大な施設・カミオカンデなのか、いずれにせよ、飛騨の民、特に神岡町の人々にとっては霊験あらたかな言葉です。蛇足ですが、船津花崗岩の記事もご参考までに。船津花崗岩といっしょに大陸からちぎれて日本にやってきたのが飛騨片麻岩です。とにかく硬いのなんの、コチンコチンの飛騨片麻岩です。ですから大きくくりぬいても崩落しないのです。カミオカンデの実験を成立させる条件は、ひとつには巨大な地下空間です。飛騨片麻岩があったからこそ、ですね。飛騨片麻岩と船津花崗岩は夫婦に例えても良いのでは、と考えています。片麻岩が夫で花崗岩が妻。寄り添って神岡の地に眠る二人。ロマンチックじゃないですか。カミオカンデは二人の愛の結晶。

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