大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム しびれる言葉

しゃみしゃっきり

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先ほど来、方言学入門、三省堂、木部暢子(のぶこ)等著、ISBN978-4-385-36393-8、を斜め読みしていたたのですが、69ページで思わずドキッとしてしまいました。体表的結末句の全国分布図ですが、しゃみしゃっきり、の言葉を発見したからです。

此の章の名前は、昔ばなしの様式性、です。全国各地で親から子へ語り継がれる昔ばなしですが、切り出しの文句は『むかしむかし或るところに、』などのご家庭が多いでしょう。そして結末句と言えば『だったとさ・めでたしめでたし。』あたりが標準的な言い回しではないでしょうか。私は幼いころは祖父母と一緒に寝ていた時代が長く、また祖父が昔ばなし好きで、私が、もう一回、と言えば嫌がりもせず、また同じ話を何回も私が寝つくまで枕辺で語ってくれてものでした。そして、祖父がいつも使っていた結末句が、しゃみしゃっきり、だったのでした(ここ)。私が方言愛好家である事は間違いないと思いますが、所詮はアマチュアです。しゃみしゃっきり、は確かに我が家の結末句だったのですが、つい先ほどまではこの意味する事を理解していませんでした。

上記の著の内容を踏まえて、私なりの結論ですが、
  • 結末句は全国に見られるが、これでおしまい、等のありきたりの言葉以外が話される地域となると、全国の約半分、つまりは地方独自の結末句はそれなりの文化的価値がある
  • 代表的結末句といわれるものは十個前後しか存在せず、圧倒的に東北、裏日本に多い
  • しゃみしゃっきり、はその代表的結末句のひとつ
  • しかも、しゃみしゃっきり、は飛騨でしか用いられない
  • しかも、しゃみしゃっきり、は北飛騨から南飛騨まで飛騨一円で話される
  • 他の代表的結末句はより広域、複数県にまたがる事も多い
  • 以上です。つまりは、あなたの家では昔ばなしの結末句しゃみしゃっきりを使いますか、という質問は立派な飛騨方言検定の問題に使えるというけです。いゃあ、長生きはしてみるものだし、方言学の出版物ははなるべく沢山読んだほうがいい、これも結論かな。しゃみしゃっきり

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