大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

はりき(=まき薪)

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私:とうとうネタ切れかと言われても仕方ないが、死語のようなものも記載していこうと思う。
君:「はりき」の語源ね。
私:うん、土田吉左衛門・飛騨のことば、に記載があった。左七がいうなら「はるき」。大西村じゃ「はるき」だな。語源は春木で決まり。アクセントは平板。ハルキ>ハリキの音韻変化、つまりは母音交替だと思う。不思議なのは土田辞書には「はりき」がぎっしり書かれている一方、「はるき」に関しては、はるきの事(益誌)、の記載のみである事。飛騨全体では「はりき」の音韻の村が多いという事なのだろうか。
君:何故、薪の事を春木というのかしら。
私:それは左七の幼少期の記憶で説明が可能だ。各山林農家の所有する山だが、植林を目的とした山もあるが、生活の為に専ら薪を切り出すための山もある。後者を「はるきやま春木山」という。二月中旬ごろの農閑期、つまりはちょうど今頃、に雪を分けて春木山に登り、この仕事にかかる。遅くとも三月の樹液流動期以前に木を倒す。明治中頃までは四尺(1.23m)を普通としたが、昭和辺りには二尺五寸(76cm)となり、一寸角(約3p)に割って束ねた。割ったものを「はりき」、割らないものは「ほた」と言う。以上、土田辞書の記載。
君:「はるき」って全国共通方言だわよね。
私:それに近いね。青森、岩手、秋田、長野、京都、等。以上は小学館日本方言大辞典から。
君:切って直ぐに使用するわけではないのよね。
私:その通り。家の軒に「はるきだな」といって、ぎっしりと春木を積んでおく。町へ売りに出すものは「いちぎ市木」という。時間をかけて天然乾燥させるわけだ。着火させる小さい木は、あかし(松の根、赤い色から)、ほえ(細枝)、あえ(柴)、そだ(粗朶)。原体験と言えば、子供の頃の居間。まん中に囲炉裏があり、火があり、自在鉤に鉄瓶の生活。
君:毎日がキャンプね。ほほほ

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