大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ころばかす(=ころばす)

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私:共通語の自他対動詞に、ころぶ・ころばす、がある。活用は四段(口語五段)。飛騨方言では、ころぶ・ころばかす、という事がある。
君:かす、は接尾語だわよね。造語機能があるわ。当然ながら古語よね。
私:いかにも。四段活用型接尾語・かす、は四段活用動詞の未然形に付く事が多いが、二段活用の動詞の語尾をア段に変えた形などに付く事もある。用例は平安初期からみられるが、俗語的、口語的な用法だった。カ行四段活用動詞の未然形+「す」、つまりサ行変格動詞化、他動的・使役的な形との類推によって使われるようになったらしいね。院政・鎌倉・室町などに文献には用例が多く、つまり古代・中世の中央の言葉。日葡辞書にも Corobakaxi, su, aita の記載がある。従って全国各地の方言として残っているし、現代口語でも多くの形で使われている。
君:散らかす、冷やかす、は本来とは違う意味になっちゃってるわね。
私:バ行動詞では、ころばかす、の一品詞のみであるところがポイントかな。一般的には、わらふ・わらはせる、叫ぶ・さけばせる、のごとく、接尾語ではなく助動詞を用いて自他対を形成する。
君:自動詞が生まれ、使役の意味で他動詞が生まれたのが日本語の歴史ね。ほほほ

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