大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

まや(家畜小屋)

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私:我が家は代々の農林業。職業コンプレックスというか、僕は都会の文化に憧れて育った。そういう皮相的な感傷は置いておいて、飛騨方言まや(家畜小屋)について。
君:これは古語・うまや厩に由来するでしょ。
私:その通りだね。みまや、ともいう。うまや厩、は馬屋からきた言葉である事も書くまでもない。古語的には街道に作られた駅も意味する。うまや厩は万葉集にもある。但し馬は古代の中国からの外来語マじゃなかったかな。古代から牛小屋の意味でも馬小屋の意味でも使われたようだ。うまや厩がある事は武家社会においてはステータスそのもので、現代なら高級車を格納するガレージのような存在だったんだね。みまや、は接頭語み御を足した言葉であり、うまや、を更に敬った言葉である事も書くまでもない。
君:まや(家畜小屋)は全国共通方言ね。
私:おっとどっこい。そうじゃない。
君:えっ?若しかして。
私:俚言じゃないかな。各種方言資料に記載が無い。佐渡、島根、長崎に納屋の意味の方言資料があったけれど。
君:そんな事を調べて何の意味があるの?
私:いや別に。このサイトは自分自身を見つめなおす目的で書いているので、他所様の評価は気にしない。
君:ならば、今回はどんな点に興味があるの?
私:二点ある。ひとつは、3モーラの語頭の母音が脱落するのは有坂・池上法則、つまり母音調和の法則に照らしてあり得る事。アルタイ語たる日本語は子音+母音の連続が原則。もう一点は日本語の最小語条件、つまり2モーラ。日本語の音韻学において基本中の基本の原則と言ってもいい、「まや」という音韻はこれら二つの法則と一致しているので全国津々浦々に方言として残っているであろう、と直感していたが、予想は見事に外れだった。不思議だね、日本語って。またひとつ、いい勉強になった。
君:なら、良かったじゃない。
私:まあ、いいや。
君:ほほほ

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