大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

にお(=藁の山)

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私:江戸時代辺りは飛騨の農林業人口はほぼ百パーセントに近かっただろうね。
君:お侍様は江戸幕府から出向して代官所に勤務する人だけ。その他は城下に僅かな町民の方々ね。
私:それはさておいて、戦後あたりでも飛騨の村々、つまりは田園風景でみられたものが藁を一本の棒に絡めて積み上げたもの、それが、にお堆。
君:聞いた事ないわね。
私:山水画などに出てくるね。藁は生活の重要物資だ。屋内に所蔵しておくに越したことはないが限りがある。にお、は屋外の貯蔵庫。空地に作る。
君:にお堆の語源がわかったのね。古語かしら。
私:残念ながら古語辞典には出てこない。ただし古くは、いなにお稲堆、と言って中央の言葉だった。高野山文書に出てくる。ただし同書は年月日未詳という事になっている。にお、は各地の方言に残り、また各種の音韻に変化している。によ、にゅー、にょー、におにお、にご、によし、のー、のーぐろ、のーつんぼ、ぬー、ぬーぼっち、等々。
君:若しかして全国津々浦々ね。
私:そう、つまりは、にお、は中古語だろうね。ところで、僕の郷里、高山市久々野町大西村では、にんぐ、と言う。
君:にお->にご->にぐ->にんぐ、の音韻変化ね。
私:その通り。リエゾン(g)、母音の交替(u-o)、子音の挿入(n)、以上の結果。
君:それ以外の可能性は?
私:ないね。長年、こればっかりやっていると直感が働くし、第一に内省する事だ。つまりは口の中でモグモグしゃべっていると自然にそうなる。
君:それを言うならニグニグよ。
ほほほ

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