大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
せら(=強情) |
戻る |
私:飛騨方言に、せら(=強情)、という一般名詞がある。共通語では、駄々をこねる、などと言うかな。 君:意味は同じでも、音韻は全く異なるわね。これの語源を考えようというのは至難の業ね。要は抽象語。語源は全く別物という事なのよね。 私:うん。結論を急ごう。小学館日本方言大辞典には、じら、の見出しでの詳説がある。これにさえ気づけば、あとは簡単。つまりは、飛騨方言・せら、は全国共通方言・じら、の音韻変化だ。 君:じら、って結局は何のこと? 私:これも簡単に一言、全国共通方言・じら、は抽象語ゆえ千変万化の意味だが、悪い意味の言葉ばかり。どうやら江戸時代あたりのやくざの隠語・じら、から来ているのでは、という事。じら、は白波五人男から来ていて、これは河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の世話物で、初演が1862年(文久2年)3月。五人の盗賊の物語。 君:江戸で大流行の戯曲ならば、その台詞も全国に広まるわよね。 私:いやいや、広まったのは隠語のほうだって事。隠語ゆえ、意味はどうにでも解釈できる。かくして同音多義語たる全国共通方言・じら、が成立したが、飛騨においては更なる音韻変化にて、せら、になったという事。 君:でも、隠語故に文献もなければ証拠は何もない。つまりは全ては佐七君の空想なのよね。ほほほ |
ページ先頭に戻る |