大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
しょびんたい(=貧弱な、寒々とした) |
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私:表題の通りだが、どう思う。 君:あまり聞いた事がないし、第一に話さないけれど、なんとなく聞き覚えがあるわ。 私:そう。飛騨方言もすっかり廃れてしまって。ただし、僕らの父母・祖父母なら使っていた。つまりは戦前戦後あたりの飛騨方言。 君:このコーナーは飛騨方言の語源について考えるコーナーだけれど。 私:早速に調べて判明した。 君:いつもの得意技で角川古語大辞典のお出ましかしら。 私:ふふふ、それが違う。小学館日本方言大辞典。見出しは「しょーびん少鬢」。軽少で貧弱なさま。まさに意味はぴったり。 君:少鬢って聞いた事ないわ。 私:そりゃそうだろ。びん鬢、は角川古語大辞典にある。頭髪のこめかみから額先へかけての部分。男女ともにいう。おくれ毛の内容にきれいになでつけておくのがたしなみ。 君:少ない鬢とはカッコよくなくて、大きい鬢のほうが立派という意味ね。つまりはお雛様の右大臣と左大臣。 私:まさにその通り。そしてここからが本題。少鬢は旧仮名遣いでは理論的には「せうびん」になるが、そのような古語文献としては伎・心謎解色糸こころのなぞとけたいろいと、五幕、 四世鶴屋南北作、 文化七年(一八一〇)江戸市村座初演。 浄瑠璃「糸桜本町育」の書替え。つまりは近世あたりの言葉。 君:上方語といってもいいわね。 私:そう。そして少鬢が方言として残る地方、といっても方言文献がある地方という意味だが、飛騨、福井県大野、滋賀、彦根、大阪、奈良、佐渡。 君:名詞・少鬢から形容詞・少鬢たいへの品詞についてはどう解釈するのかしら。 私:一発変換という事かな。少鬢たり、というタリ活用の形容動詞が生まれ、更にこれの転、と考えられなくもない。 君:考えられなくもない、とは、言い換えれば屁理屈。つまりは、ありえない、と同意ね。ほほほ |
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