大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

たねあい(=おとりあゆ囮鮎)

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私:アユ釣りは清流の女王たる鮎を釣る手法のひとつで、一匹のアユに一本の釣り糸に二つの釣り針、ひとつは鼻鐶(はなかん)でオトリ鮎を自由に清流に泳がせ、他方、もうひとつの釣り針はオトリ鮎の直ぐ下流に流す。アユは縄張り意識が強いので、オトリ鮎を蹴散らし自分の縄張りを守ろうとするが釣り針に引っかかるという釣り方だ。
君:オトリ鮎の事を飛騨方言でタネアイというのね。漢字は?
私:種鮎。
君:なるほど。子音y の脱落という音韻変化ね。
私:そう。俚言じゃないかと思ったら、島根県益田市の方言にもあった。
君:つまり偶然。方言の孤立発生説の例。
私:その通り。また、飛騨方言ではタネアイは単に、たね、と呼ぶ事もあるし、おや親、と呼ぶ事もある。
君:ほほほ、親鮎を蹴散らそうとして子鮎が捕まるという釣り方なのよね。
私:小学館・日本方言大辞典を紐解くと、親・種、共に各種の意味がある多義語。
君:オトリとそれに引っかかる獲物は親子関係じゃないわね。ライバルそのものよ。ほほほ

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