大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

とうすみ(=源五郎)

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私:昆虫の源五郎の事を飛騨方言ではトースミというんだ。と言っても死語に近いだろうし、飛騨の方言資料では籏鉾(はたほこ)村の言葉らしい。飛騨は広いからね。
君:聞いた事ないわね。語源がわかったのね。
私:ああ、直ぐにわかった。ばっちりだ。
君:どうせ小学館・日本方言大辞典にそのまま記載されていたのでしょ。
私:その通り。語源は、とうしん燈心(灯心)だ。
君:燈心を説明してちょうだい。
私:古語辞典にある。近世語だ。灯油を入れた油皿に火を点ずる細長い芯の事。
君:なるほど。時代劇に出てくるし、燈心は真っ黒けだわね。色からの発想で源五郎をトーシンと言っていたのが、いつの間にか音韻変化して、トースミになったというわけね。
私:その通り。更には穿った考えをご披露するとなると、イカスミじゃないが、とう燈+すみ炭、という誤れる回帰が働いた可能性がある。さてさて江戸時代あたりから油屋という商売が盛んになり、魚の油などが売られるようになり、明りを手に入れた人々は夜も寝ないようになった。真っ黒けな燈心(灯心)は多義語で、十何種類もの黒いものの例えに用いられるようになった。つまり多義語。そして各種の意味での全国共通方言。花の例えが多い。虫としては、みずすまし、げんごろう。
君:なるほど。トースミはいいから、日本人の皆様は何故、源五郎というのか、こちらのほうがご興味がおありだわよ。
私:そちらも調べた。結論だが、不明です。一説に琵琶湖畔の漁師・錦織源五郎が立派な大鮒を安土城主に献上し、以後、源五郎鮒と呼ばれる、などというまことしやかな説がある。
君:いかにも嘘っぽい説明ね。落語ネタのようだわ。 ほほほ

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