大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

とうざい(=仔馬)

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私:飛騨での畜産と言えば飛騨牛。つまりは牧畜だが、戦前辺りは沢山の馬が飼われていた。仔馬が当然ながら生まれるが、二歳馬や三歳馬ではなく、その年に生まれた仔馬の事を、とうざい、と言う。アクセントは平板。とうざいま、ともいい、この場合は、ま、にアクセント核。
君:死語といってもいいわね。
私:うん。でも国立国語研究所資料、仔馬の事をなんといいますか、という地図には、飛騨は、トーザイ、と記載されている。漢字はわかるよね。
君:当歳ね。
私:その通り。たうざい當歳、は古語。古今和歌集に出てくるね。たうざいこ當歳子は日葡辞書に出てくる。
君:なるほど、たうざいま當歳馬は複合語ね。
私:ひとつ気になる事があって。
君:何?
私:飛騨方言のバイブルといってもいい土田吉左衛門・飛騨のことば、には一切、記載が無い。
君:ちょっぴり残念ね。
私:土田さんは教員、旧高山市のおかた。飛騨の農村の事はお詳しくなかったという事なのでしょう。
君:あなたの故郷たる大西村に生きていた言葉なのね。
私:まさにその通り。お袋が使っていた。彼女は戦前の生まれだ。戦前に大西村では馬が沢山飼われていた。僕自身は昭和28年の生まれだが、幼いころに村に馬の牧場があった事を覚えている。
君:ただし、とうざい(=仔馬)、という言葉は覚えがないのでしょ。ほほほ
私:十年ほど前だったか、帰省した時に、お袋の口からポロリと出たんだよ。
君:ひと昔前のほんの一瞬の事だったのね。 ほほほ

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