大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
ようさり(=夜) |
戻る |
私:共通語・夜の事を飛騨方言では、ヨーサリ、というが、語源当てクイズとしては簡単だと思う。 君:古語よね。よさり夜去。意味は夜、夜分。「さる去」は「(現代語・去っていくの意味ではなく)来る」の意味だわ。現代語としては専ら、離れていく、の意味に用いられる動詞だけれど、元々は、その時になる、という意味なのよね。時間や季節を表す語について用い、已然形が接続助詞「ば」を伴ったり(例、ゆふされば)、連用形に「来」「行く」などがつく形が普通。 私:そうなんだが、素朴な疑問がひとつ。そもそもが、よ夜、と、よさり、両者の違いは? 君:古語で、よ、と言えば、代・世・節・餘、であり、自立語としては、よる夜。よる夜は、よひ・よなか・あかつき、に三等分。従って、よ夜、は接頭語・接尾語であり非自立語。 私:つまりは、よ代・世などとの音韻衝突を避けるために、よさり、になったのかもしれないね。それに、よ、は日本語の最小語条件(2モーラ)に合っていないし。ところがヨーサリは最小語条件に合う。つまり発音しやすい。 君:つまりは全国共通方言ね。 私:その通り。全国津々浦々、びっしり。割愛せざるを得ないね。よさりがた、よさりつかた、が平安文学にある。よさり、は中古語。全国で話されるこの方言だが、実は平安時代の言葉を引きずっている。 君:若しかして、よさりがた、よさりつかた、も全国の方言に散見されるのかしら。 私:おっ、いい感してるね。その通り。よさりがちゃ(熊本県)とかね。 君:あらあら、飛騨方言でなくて残念ね。 ほほほ |
ページ先頭に戻る |