歩いて行ったという意味で、
あるって行った、と話す事はありませんか。
別稿・あるっていった
をご参考までに。
勿論、誤用です。飛騨方言の文法なんかじゃありません。
でも私自身が内省してみると不思議に飛騨方言のセンスに
あっている事に驚かされます。
さて内省とは何でしょう。自分でブツクサと唱えてみるという事ですね。
筆者の脳みそには無数(でもないかな)とも言える飛騨方言の言い回しが
詰まっています。記憶中枢・海馬が首座でしょう。
内省とは考える事ですから前頭葉も働いています。
故郷の人々の言葉が心に浮かんできます。
私をよくかわいがってくれた私の祖母二人、
あの人達なら言いかねない、なにせ無教養でしたから。
また、何故筆者自身がこの言い回しに違和感を覚えないのだろう、
という事に思いが移ります。そしてやはりひらめきがあり、
どうしてもこれを書きたくなる、世の人々に問うてみたくなる。
結論を急ぎましょう。方言には東西対立というものが
あります、東京語と大阪方言。
そして今回は動詞連用形の音便規則がテーマです。
つまりはサ行動詞のイ音便、
これがぱっと言えなくっちゃ飛騨の人間じゃない。
つまり飛騨は関西系。
ところがハ行動詞の連用形。共通語では、思った、なれど、
大阪方言では、おもうた。ところが飛騨方言は共通語に一致して促音便。
ウ音便なんか使いでもしたらそいつは飛騨の人間じゃない。
つまりは賢明な読者の方はお気づきでしょう、
飛騨方言には動詞連用形の音便規則ですが、行ごとに
異なる、つまりは東京文法でもない、大阪方言文法でもない、
飛騨方言文法と言わざるを得ぬ文法なのです。
あるった、の誤用は実はこの延長上にあります。
ところが話はまだ半分、ふふふ。
またもう一点ですが、実はこれが言いたい筆者のひらめきとは、
人の移動を表す動詞たった四個、あるく・はしる・いく・くる、です。
つまり正しい飛騨方の言い回しは、あるいて・はしって・いって・きて。
それでも例えばゆっくりブラブラと歩けば、歩いて、の言い回しは
はまり言葉といえましょうが、ついせかせかと
歩いてしまうと、走って行って、に
引きずられて、あるって、とつい話してしまう
という事も有り得るという事です。
小学校の担任に
こら!廊下ははしっていってゃあだしかん。
いそいでもなあ、あるっていくんやぞ。( Walk, don't run. )
なんて叱られたような気も段々と
してきました。
皆様のお考えはいざ知らず、
筆者の脳みそではこのような情報処理が行われているという、
我が脳みその語感の種類を数える内省実験なのでした。
しゃみしゃっきり。
おまけ
なつかしのエレキグループ、ザ・ベンチャーズの、
Walk, don't run. 名曲です。
あるく・はしる・いく・くる、なんて書いていたら
思い出しちゃいました。
わりと簡単だから(Am>G>F>E)、
数ヶ月練習すると誰でも弾けるかも。
大西佐七のギターサイトもよろしくね。
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