大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言における否定の助動詞・ん、推量の助動詞・らむ、に関する一考察

戻る

別稿の飛騨方言における否定の助動詞・ん にありますように、否定文は必ず、ん、で活用するのが同方言の特徴です。 また一方、近隣・長野方言にもありますように、肯定文において、 古語の推量の助動詞・らむ、を用いる事があるのも飛騨方言の特徴です。 そしてまた、推量の助動詞ですが、らむとす(=〜しようとしている、〜するでしょうよ)、 つまり肯定文の意味で、らむとす、が、らず、に詰ってしまいますので 話がややこしくなります
助動詞 否定 推量
    ん  らむ 
未然  ○  ○
連用  んず ○
終止  ん  ら(ず)
連体  ん  ○
仮定  んに ○
    に  ○
命令  ○  ○
  要点はひとつ、
活用が終止形であるか否か
という点です。 つまりは終止形、たとえば"雨がふらず。"と言えば推量の意味で 雨が降るでしょう、という意味になります。雨が降らずによかったな、 というような連用形表現では否定の意味になります。 また、ん、で終了する表現、"雨が降らん"は終止形であるにせよ、 連体形であるにせよ、否定の意味になります。 雨がふらむ(雨がふらん、降るのであろう)という表現は 飛騨方言には無いと言うことになります。

ページ先頭に戻る