古語の文法では仮定条件のうち前後の内容が
順当につながらない関係にあるものを逆接仮定条件と言い、
活用語終止形+とも、で表す、ただし形容詞や助動詞・ず、
の場合は連用形+とも、で表す、との記載があります。
例文ですが、
その時悔ゆともかひあらむや(徒然草・老きたりて始めて道を)
を訳しますと、
その時にたとえ悔いても甲斐がありましょうね。
共通語訳の品詞分解はいざしらず、飛騨方言に訳すと
どうなりましょうか。
そんどきに悔いたってもなあ、(長い目でみりゃあ)そんでえんやぞ。
(かなりの意訳、ごめんね)
ふーむ、飛騨方言の逆接仮定条件の言い回しはこれ以外には
無いのではありませんか??くいたって、とは、つまりは、
くいたとて、という事でしょう。品詞分解しますと、
悔いるの連用形・くい+完了・過去の助動詞・た終止形+
とて(格助詞と+接続助詞て)、という事ですね。
つまり飛騨方言における逆接仮定条件は
順接仮定条件と異なり、
共通語に同じく連用形+完了・過去の助動詞・た、の言い回しのようです。
蛇足ながら、形容詞や助動詞・ず、の場合は連用形+とも、で表す事は、
古語、共通語、飛騨方言の三者とも変わりなしですね。
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