飛騨方言における敬語表現ですが、ひとつには、"してくださる" のかわりに
"してくらはる" を使用する言い回しがあります。
活用は同じですので、意味の類推は容易でしょう。
アクセント、抑揚なども同じです。
共通語 飛騨方言
未然 してくださらない してくらはらん
してくださらなかった してくらはらなんだ
連用 してくださって してくらはって
終止 してくださる してくらはる
してくださった してくらはった
連体 してくださる してくらはる
してくださった してくらはった
仮定 してくだされば してくらはりゃ
してくださったなら してくらはったんなら
命令 してください してくれんさい
"してくらはらぬ" は "してくらはらん" に、
"してくらはれば" は "してくらはりゃ" に音便変化するのが普通です。
共通語・くださる、飛騨方言・くらはる(英語 be kind enough to give) も同様の活用になります。
"してくだされ。"という命令形の言い回しは飛騨方言にはありません。
明らかに奇異に感ぜられます。日常会話でよく聞かれる言い回しは
ありゃようきてくらはったナア。あんきにしてくれんさい。
というものです。