大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言における敬語表現・している/してござる

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共通語では、ございます、は丁寧表現として、例えば、今日は火曜日でございます、などといいますが、 飛騨方言ではこのような丁寧表現は存在せず、他動詞の連用形に"ござる"を付加し、 専ら尊敬表現としてのみ用います。

つまりは、飛騨方言には"バザールでござる"という表現はありません。 そうではなく、
"NECがバザールしてござる"
という飛騨方言の表現は、 天下のNEC様がバザールをしていらっしゃいます、という意味で用いられます。

"ござる"がラ行の四段で活用する点は動詞と変わりません。
   飛騨方言          共通語
未然 来てござらん        来ていらっしゃらない
連用 来てござって        来ていらっしゃって
終止 来てござる         来ていらっしゃる
連体 もう来てござる時間     もう来ておみえの時間
仮定 来てござれば 来てござりゃ 来ておみえなら
命令 来てくれんさい       来ておみえよかし
飛騨方言ですが、連用形では必ず、仮定形ではあるいはほとんど音便化します。

また共通語での尊敬語の命令形が思い浮かびませんが、文語表現になるのでしょうか。 また、飛騨方言では単に、来てくれんさい、が一般的な尊敬表現になろうかと思います。 来てござりんさい、は内省しますと明らかに不自然です。 一方、尊敬の意味が無い普通の言い回しは、男性が言う場合は、こっちへきよ、 女性が言う場合は、こっちへきないよ、になります。

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