共通語においても動詞連用形に "なさる"を付記して丁寧表現とする事が
一般的ですが、飛騨方言では五段動詞のみ、未然形に"っさる"を付記して丁寧表現とする事があります。
ただし、上一段、下一段、カ変、サ変動詞ともに"っさる"を用いた活用は成立しませんでした。
どうも、ひとり五段動詞にのみに特有の表現のようです。
蛇足ながら飛騨方言には共通語と同様の"なさる"を付記する方法もあります。
"なさる"表現 "っさる"表現
五段
未然 書きなさらん 書かっさらん
連用 書きなさって 書かっさって
終止 書きなさる 書かっさる
連体 書きなさる 書かっさる
仮定 書きなさりゃ 書かっさりゃ
命令 書きなされ 書かっされ
上一段
未然 着なさらん
連用 着なさって
終止 着なさる 着っさる(×)
連体 着なさる
仮定 着なさりゃ
命令 着なされ
下一段
未然 得なさらん
連用 得なさって
終止 得なさる
連体 得なさる 得っさる(×)
仮定 得なさりゃ
命令 得なされ
カ変
未然 来なさらん
連用 来なさって
終止 来なさる 来っさる(×)
連体 来なさる
仮定 来なさりゃ
命令 来なされ
サ変
未然 しなさらん
連用 しなさって
終止 しなさる しっさる(×)
連体 しなさる
仮定 しなさりゃ
命令 しなされ