大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

接尾語・かす・飛騨方言

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今初めて旺文社古語辞典などを開いてみますと、 かす、という品詞は、接尾語・サ行で四段の活用、 動詞の未然形について他動詞を作り、また使役的な意味を 添える、そのような状態にするの意、との記載があります。 例としては、はしらかす、まどはかす、わらはかす。

うーむ、考え込んでしまいました。 飛騨方言には、〜かす、という動詞が結構、ありますが、 ついうっかりと〜させる、というような共通の意味合いが あるのかも、とかってに自分で思い込んでいたのかも 知れません。 この接尾語は、ただ単に自動詞を他動詞に変化させる 接尾語なのかも知れないと言う事なのですよねえ。

以上が前置きで、さて、そそのかす・たぶらかす、と言えば 現代語の共通語ですが、くだんの古語辞典にも 掲載されている動詞です。 そそのかす、は源氏・桐壺の例文が、たぶらかす、は 源氏・柏木の例文が載っているじゃありませんか。

ところが、たぶらく・そそのく、という自動詞は、 どの古語辞典にも載っていないんですよねえ。 古代には、このような自動詞があったのですよねえ。 接尾語・かす、を付加して他動詞となり、 それは平成の御世の現代文にまで語り継がれているけれど、 源氏などの平安文学の時代以前に、たぶらく・そそのく、という自動詞は 死語化したという事なのでしょうか。

つまりは、たぶらく、といえば、ついついその気になっちゃう、 という自動詞だったんでしょうかねえ。 そそのく、といえば、ついついそのように思い込んでしまう、 という自動詞だったんでしょうかねえ。 たあけたいなお話ですけれど。しゃみしゃっきり。

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