金田一春彦著、日本語方言の研究 [単行本]、東京堂出版、がありますが、
実は古書です。最近、ネット検索して手に入れました。
飛騨方言に触れた内容が一行飛び込んだ瞬間に、同行が頭に焼き付いてしまいました。
飛騨、名古屋などでサ変動詞を、せる、というのは、せる・せん、の活用あたりから来るのであろう、と。
うーむ、なるほど、その通りですね。
ところで氏が中部方言に鋭い洞察を加えられたのは同書にもヒントがあります。
名古屋大学でも教鞭をとっていらっしゃったのです。
道理で名古屋方言をよくご存知なのでした。つまりはあくまでも推察ですが、
名古屋でも古くは、せる、が用いられていたのでしょうか。
名古屋では今でも、しない、とは決して言わず、せえせん・せやせん・しやせん・せえへん、
などと言いますものね。
飛騨と名古屋の文化の差を考えますと、名古屋は飛騨のおよそ百倍でしょう。
つまりは飛騨方言は相当に名古屋方言の影響を受けています。
あるいは若しや尾張ではかつて、せる・せん、と言っていたサ変動詞が
現在でも飛騨で用いられており、
名古屋ではかなり昔に、せる、が消滅し、現在は、する・せん、が
用いられているのではないでしょうか。
つまりは、飛騨方言はある意味、つまり方言周圏論、では名古屋方言の古形
なのでしょうよ。しゃみしゃっきり。
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