飛騨では、というか私の村ではかつて、玄関に雛人形をかざります。
来客の方に品評していただくためです。
また、この人形が格好の遊び道具で、手に持ってもてあそぶことを飛騨方言で、てむずり といいます、まさにてむずり用の人形です。
てむずりといえば、現代の世相は老若男女が、携帯電話をてむずりにして、親指姫・親指トム となってしまっているとも言えます。
また、飛騨の雛人形は正統の三段飾りのご家庭は少なく、たいていの家で、わんさかと飾ってあるのが土雛、つちびなです。
レパートリーも豊富で、わらべあり、おきなあり、おうなあり、婦人あり、ポーズも様々、見ていて飽きないものです。
結構、多かったのがお相撲さんとか金太郎、ですからひな祭りは立派に男子のお祭りでもありました。
少なくとも私の村では桃の節句も端午の節句も同時開催でした。
さてつちびなゆえ、手がすべると割れやすい、てむずりにしていて、ついうっかり落として割っても、誰も見ていなければ、
そっと形を合わせて、そ知らぬ顔をしているに限ります。
兄弟も多いし、また来客も多い、誰がいつ、割ってしまったかわからない、気がつかれなければ事は済んでいくものです。
がしかし、それって許される事?、何て、飛騨の人は粗野!、いえいえ、見ても見ぬ振りをするのが人の道、兄弟とて同じ事、
ちくりでもしようものなら、その子はもう家の中では生きていけません。飛騨では子供もおとなびています。
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