自サ五「げばす」という動詞は、飛騨方言らしさを出すために重要な単語で、失敗する という意味です。
"忘れてまう"って というフレーズは、共通語では "忘れてしまう"って と訳されます。
この短い俳句に飛騨方言を二つ、挿入するのも、工夫が要ります。
「げばす」の文例ですが、"今度の試合は絶対にげばさんようにな。げばしたら、だしかんぞ。相手がげばせば、えんやけど(=いいのだが)。げばそうにもげばせん簡単な試合やで。"
また例えば、失敗談 は げばした話、あるいは、げばいた話 となります。
次に、飛騨方言では、"〜してしまう" を、"〜してまう" と言いますので、これも的確に使えば、俄然、飛騨方言らしくなります。
"ああ!バスが行ってまった。おりゃ乗り遅れてまった!おまけに定期券の期限がきれてまっとる!またやってまった!情けのうなってまうさ。"
意味はお分かりですね。共通語に訳す必要は無いでしょう。"まう"を"しまう"に置換するだけですから。
さてサラダ記念日を題材にすれば、飛騨弁俳句もまた世界が広がるでしょう、ところでこの俳句、私ども夫婦が異口同音の会話でした。お互いが大切に思う事を二人がともに忘れてしまう事が時にあります。相身互いです。忘れた事が異口同音で、そして二人が同時に思い出すと、そう言えばそんな事があった、とお互いに笑ってしまいます。ただし片方だけが忘れている場合はそうもいきません。忘れた側は落ち込みます。相手がそんなにも大事に思っていた事をどうして私は思い出せないのだろう、と。思い出してしまった側は慰め役になるのですね。
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