飛騨ではひな祭りを旧節句四月三日におこないますが、端午の節句は五月三日です。
我が家では、祖母が自家製かしわ餅を今の時期、
四月からてんこ盛りに作ってくれた事が、うーん、懐かしい、そんな句を詠んで見ました。
"ばばさまえ" は、"ねえねえ、おばあちゃん" の意味になります。
この句のポイント、飛騨俚言"せらい"ですが、"早速に、早く、ささっと速く" などの意味
を持つ副詞です。
実は"せらい"をネット検索してもヒットゼロに近い状況でした。私は天涯孤独なのです。
でもその私が"せらい"を飛騨俚言であると確信する根拠を以下に二つ、お示しします。
ひとつは当サイト辞書コーナーに紹介します若林幸憲さんの奥飛騨の方言口座の辞書です。
同意語として飛騨俚言"せれ"が紹介されています。
ふたつめには、同じく当サイト辞書コーナー"北飛騨の方言しったかぶり講座"の同意語飛騨俚言"せで"です。
"せれ"は"せらい"が変化したものでしょう。
"せれ"のほうが新しい言葉なのです。また私とて、普段は"せらい"と言っていても早口になれば
"せれ"とつい、発音してしまうでしょう。
がしかし、決して"せで"とは言いません。"北飛騨の方言しったかぶり講座"さんとは言語圏が明らかに異なります。
ひとつ問題は、彼は高山市役所総務部広報課、安川朝市のおばちゃん達、
清見青空市場のおばちゃん達、友人各位から情報を得て辞書を作成された由、
"せで"はご自身の言葉ではないという意味でしょうか。ぜひとも、"せで"が飛騨の
どの地域の言葉なのか明示していただけたらと思います。
この飛騨俚言"せらい"は,早く の意味にも、速く の意味にも用います。文例ですが
"はや十一時半やで、せらい(=速く)仕事やってまわんと、お昼までに終わらんながい"
"はや十一時半やけど、せらい(=早く)昼飯にせまいが(=しましょう)。そしゃ午後の仕事は十二時半からでええろ。"
実はネット情報ではほんのいくつか方言としてヒットするのです。
"せらい子供"という言い回しの別意味の形容詞があるようですが、
飛騨で話される副詞とはなんら関係ありません。
宮城の方言"みせらい(=みせて)"にして然り。
飛騨地方でのみ話される実に不思議な副詞"せらい"、せらい語源を知りたいのです。
どなたか、せらい佐七に教えて!
追記 2005/4/11
大垣方言研究所様からメールをいただきました。
原語は"精を出して"と考えられ、これが全国の方言に変化していったらしいのです。
せえだいて,せえだい,せだい,せらい,せれ の順に変化して来た事もお教えくださいました。
この場を借りまして御礼申し上げます。
|