飛騨方言を三つ織り込んで見ました。
まず、ばんがたし、ですが、夕方という意味です。
つまりは、ばんがた、と言う事なのですが、どうして飛騨方言では、し、という余分な言葉がついているのか
よくわかりません。
次いで、やわい、まわし、の二つの飛騨方言名詞ですが、共に準備、したく、と言う意味です。
共に俚諺のようですので語源を考える事は困難ですが、私なりに推察いたしますに、
やわい、は古語動詞・やわす(心和やかにさせる)の名詞形、つまり、やわし、に由来するのではないか、
また、まわし、は根回しが詰まった言い方なのではないかと考えます。
やわいの場合、冬じたくの事を飛騨方言ではふゆやわい、といいます。ふゆまわしとは言いません。
まわし、についてはやはりあれこれ根回しして準備する事に用いるようです。
句意ですが、夕方ころになるとあれこれ盆踊りの準備をしているという意味です。
やわいとまわしに厳密な意味の差は無いのでしょうが、やはり微妙な意味の違いで以下のような使い分けがあります。
盆踊りのやわい、といえば、風呂に入り、ゆかたに着替え、お化粧し、うちわ・せんすを出して、など、
あれこれ楽しくルンルン気分で準備するという意味になりましょう。
盆踊りのまわし、といえば、広場に電気をともして電球が切れていないかチェックする、マイクを持って音が出るか確認する、
駐車場案内の看板をたてる、テントを設営し夜店の準備をするなど、あれこれ根回しをする事を示しましょう。
また、まわし、と、(ばん)がたし、は韻を踏んでいますので、やわいを先、まわしを後として、まわしのばんがたし、です。
完全に倒置して、ばんがたしにまわしとやわいの盆踊り、としてもいいかもしれません。
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