大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 古代 |
国文法の歴史 |
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私:基礎的な事でも意外と忘れてしまっているものなので、本日はサラリとお浚いしたいのだけど、奈良時代のポイントってなんだったっけ。 君:動詞活用が八種類、つまりは下一がない事。あるのは四段・上一二・下ニ・カサナラ変。それと上代特殊仮名遣い、つまりは清音61、濁音も加えると81、形容詞の活用は未発達、形容動詞は無かった、この四点ね。語中・語尾のハ行転呼、四音便が出現、助詞の分類意識、已然形単独接続、ふう。 私:音韻は多かったが、活用は少ない。でも聞き分けが大変そうな奈良語だったのか。日本語の原型が出来つつあるね。じゃあ平安時代はどう? 君:動詞活用は九種類、四段・上一二・下一二・カサナラ変、つまりは下一の誕生、平仮名・片仮名の発明、已然形単独の接続の衰退、上代特殊仮名遣いの衰退、ラ行が語頭に来る(らうたげなり等)、「エ」にア行・ヤ行の区別がある(ア行/e/衣・依 vs ヤ行の/je/江・延・曳)。 私:だいぶ、現代語に似てきたな。でも、イェーイ、ヤ行は気を付けよう。じゃあ鎌倉は? 君:片仮名文の増加、定家仮名遣いの制定、已然形改め仮定形出現、連体形・終止形の合一化、ア行(オ)・ワ行(ヲ)の区別がなくなる、くらいかしら。 私:あらら、動詞活用はシンプルに、音韻もシンプル化した鎌倉、じゃあ室町は? 君:キリシタン資料の出現、可能動詞の出現、打消しの「ん」の出現、かな。 私:伊曾保(イソップ)物語とかね。日葡(ポルトガル)辞書の存在は大きいね。言い回しは現代に通ずるかな。じゃあ締めくくりは江戸で行こう。 君:契沖がイロハ48文字を整理、本居宣長の国学研究、江戸語の発達。おびただしい書籍資料。 私:簡単に一言、古代の音韻は複雑、それがシンプル化する一方だった。用言の活用は洗練されるというか終止連体、已然仮定のような単純化の傾向もみられる。つまりは文法も音韻も単純化の歴史という事じゃないのかな。 君:そう言えなくもないわね。 私:その一方で、爆発的に増えたものがあるよね。 君:なによ、問題が簡単すぎるわ。答えは語彙。古代語・和語と呼ばれるものは容易に数える事が出来そうだけど、現代語のコーパスはコンピュータでも手に負えない天文学的な数字なのよね。 私:ははは。明治書院・講座日本語の語彙全十一巻を買ったぞ。 君:どうせそんな事だと思っていたのよ。それってボキャ貧大明神様にはうってつけの資料だわね。私には中納言がある。私と張り合おうと思っても無駄な抵抗よ。 私:君こそ何言ってんだい。うーん、この本の香り、重厚感、たまらないね。 君:それを言うなら電子出版されたものを買うべきじゃないかしら。旅の友にもいいわよ。ネット環境に左右されないし。 |
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