私の親戚の飛騨川佐七が彼の知人の東京太郎さんに偶然にも町で出くわしたのです。
あれまあ、こんな所でお会いするとは、とたちまちに
男同士の立ち話の井戸端会議があったのはいうまでもありません。しばらくして
思わず話し込んでしまいました。いやあ、お引止めして済みませんでした。
あれえ!時間が無い!!大変だあ!!!私は失礼しますが、でもあなただけはためらってください。
と言いつつ、都会の雑踏にさっと消える飛騨川佐七。
それを聞かされた東京太郎さんですが、
太郎さんよ、ためらえ
と半ば命令口調で自分の前をさっと去った佐七さんという方は、ああわかった、その場を
立ち去るのをためらいなさい、しばらく動かないで私・飛騨川佐七が戻ってくるのを
待っていてください、という意味なのだと勘違いして、
実は(ためらう事なく(共))そこにじいっと待っていました。
ところが五分待っても、十分待っても飛騨川佐七は戻ってきません。
動くなと言っておきながら、
自分のかってでやはり先を急いでしまった人だったのか、
かってな事を言う人だなあと思いつつ、
ご自身も実は先を急がれますので
半ば傷心の気持ちで自分もその場を離れる東京太郎氏。
実は、飛騨方言・ためらう、というのは、、、
赤信号では必ず止まって、青信号でも左右をよく見て、
十分にためらいつつ(共)気をつけてお進みください、
決して向こう見ずに歩く事をなさるな、
あなたが交通事故にあわないよう、あなたの健康をお祈りします、、、という意味なのです。
東京太郎さんへ、ほんとにごめんなさいね。飛騨川佐七がこの間見た面白い映画のパンフがすぐこの先のチケットピアにあるはずだから、
せっかくだからパンフをもらって来て東京太郎さんに差し上げたいと
チケットピアに走っていった飛騨川佐七ではなかったのでした。・・・ああ。
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