時代とともに飛騨高山名物も変わります。
最近には飛騨牛の串焼きが少しは知られるようになりました。
旅行雑誌に特定のお店が紹介されると、これで結構、お客さんがお店におしかけて。
そんな店のひとつ、元祖飛騨牛串焼き専門店・『おおごっつぉう』、の主人・飛騨谷さんは
お店の伝統の味を絶対に変えないというなかなかの頑固者です。
東京花子さんがせっかくの高山の旅行、
是非にと旅行誌で知った『おおごっつぉう』名物・飛騨牛の串焼きをお目当てに
店を訪れました。ところが、なっなんと、本日串焼き売り切れ、の張り紙が。
しかし何のこれしきでめげてしまう東京花子さんではありません。
店の奥で忙しく働くご主人・飛騨谷さんを目ざとく見つけ、
しかもご主人のご様子ですが、(なあんだ串焼きを今、仕込み中じゃないの)、、、
おじさん、東京からわざわざ、おじさんの串焼きを食べに来たのよ。
張り紙は売り切れだけど、いつ食べられますか?
の質問にご主人が元気よく返事なさるに、
はい、ささってからです。ちょうど今、売り切れでごめんね。
それで東京花子さんは
(ああ、串焼きが全部ささってから、つまり串を全部、刺し終わってからね)
と思い、他の料理を注文しつつ串焼きが出来上がるのを待ちました。
注文するまでもない、すぐ出きるだろうし、刺し終えるのに時間など
かかるわけがないと思い込んだ訳です。
一時間もあれこれ食べ続けて、とうとうお店の人に、
あのう、名物の串焼きまだですか?
と聞く花子さんですが、
伝統の串焼きの仕込みは明日以降も続き出来上がるのは
飛騨方言にいう明々後日・つまり、ささって、であるといわれたのでした。
なにせ生まれも育ちも飛騨のご主人・飛騨谷さんなので、ささって、が方言である事に
全く気づいていません。
という事で彼は、きょう、あしたり、あさって、ささって、の四日間を費やして
串焼きを仕込む予定ですと花子さんにお伝えしたつもりだったのですが。
以上、なんとも早、食い物の恨みは、、の幻の串焼き事件でした。
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