大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ゐる・をる事件

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金田一探偵事務所の古畑佐七郎です。 ちょっとした言い癖で簡単に出身が割れてしまいます。 なにせとっさの時に出てくるのがお国訛り、こればかりは、はっはっは、生涯なおりませんね。

私も普段は何食わぬ顔をして共通語を話していますが、とっさに話す言葉が飛騨方言ということは実はあるのです。 今日はそんな話を。ところで松本清張の小説・砂の器、にも出てきますね、うーん、 確か東北方言訛りと思いきや出雲の方言である事がわかり事件が展開した、 そのようなストーリィーでした。

さて、ゐる・をる、ですが似たような意味ですが、飛騨の人間ならどちらかというと、おる、を使うでしょう。 誰もいない、というよりは、誰もおらん、というわけです。 思わず出るため息言葉が、あーあ彼女がいたらなあ、ではなく、おりゃなあ、になってしまうわけです。

またとっさに出す言葉といえばズバリ命令形でしょう。 つまりは飛騨の人間ですと、ここにおれ!!です。 飛騨の人間なら、ここにいろ!、とは普通はいわないのです。 また、おるは四段動詞、ゐるは上一段動詞、この点が実は曲者なのです。 共通語では上一段動詞、下一段動詞の場合、命令形はオ列で活用しますね。 ところが飛騨方言では上一も下一も共にエ列で活用するのです。 例えば大変に焦った犯人が、
服を着ろ!手を上げろ!
と共通語で言うべきところを
服を着れ!手を上げれ!
と言ってしまうと、この犯人は飛騨の出身者である事がバレバレです。ははは おさらいです。ある犯人が若し、
ここにいろ!
といったのならおそらくは飛騨の出身者ではありません。 理由はふたつ、(1)飛騨方言では、いる、よりも、おる、が使われやすい、 (2)焦った飛騨の人間なら上一段動詞の命令形はエ列で活用するはずです。

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