大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 題して佐七のブログ 

加藤素毛(2)

加藤素毛(そもう)は江戸時代末から明治にかけて生きた飛騨の偉人で、幕末に幕府の御用人としてアメリカ軍艦に乗せいたただくという形で、米国のあちこちは言うに及ばず、行きは太平洋、帰国は大西洋という事で、世界一周旅行を成し遂げた、当時の日本人としては数少ない知識人・大冒険家です。ご出身は岐阜県下呂市金山町で、金山町の小学校では、必ず学習教科に取り入れられているそうですから、金山町では知らぬ人とてない、歴史のヒーローというわけです。2007年、ざっと13年前にちらっと記事を書いていました(ここ)。このサイトも息の長い仕事になりました。私の素毛研究も始まったばかりで、今夜は素毛の第二話です。

前置きはさておき、先ほど下呂市サイトを閲覧したところ、加藤素毛伝承マンガ 「幕末に 世界一周 やってみた」 連載中!を発見しました。・・加藤素毛は幕末から明治時代を生きた下呂市出身の俳人、1860年1月28日、日米修好通商条約批准書交換のための幕府遣米使節随行員77名の1人として、米軍艦ポーハタン号で品川沖を出港、ハワイ、サンフランシスコ、ワシントン、ニューヨーク等を巡り、喜望峰経由でジャワ、香港等に立ち寄った後、同年9月28日、素毛36歳の時、無事に品川港に到着し、当時世界一周を果たした人はなく、この航海が日本人初の世界一周、各地で雄弁な帰朝談を披露、内容は「二夜語(ふたよがたり)」として尾張藩大道寺家の家臣水野正信によりまとめられ、現在は名古屋市の蓬左文庫(ほうさぶんこ)に保管、大変筆まめで、見聞のすべてを日記・和歌・俳句・絵画に書き残しており、日米修好史上貴重な資料となる。問い合わせ先/下呂市役所金山地域振興課/電話番号:0576-32-2201/ファックス:0576-32-3336・・だそうで。

以上が前置きで、早速に先ほど全て読んでみた漫画の感想ですが、会話文は全て階級方言(ある社会階層に属する人だけが特徴的に用いる言葉の総称。武士言葉・遊女言葉・宮廷語など。)、つまりは武士言葉もどき、のような形で統一されていて、飛騨方言はほとんど出てきません。全国の皆様を読者としてお考えのようで、常識的なご判断でしょう。また、数語ですが、飛騨方言の語彙と思しき言葉が出てきますが、お披露目するほどの内容ではありません。

さて飛騨人の気質として、人情深い・素朴・正直・親切、等々をイメージなさるお方が多いでしょう。他県のおかたの旅行談などにそのような字句が散見され、嬉しくも名誉な事です。ただし生まれ育ちが飛騨の私が、故郷の人情で少し残念な気持ちになる事を吐露しますと、己の戒めでもありますが・・★保守的、伝統的に政治は自民党、★封建的、男尊女卑、非民主的、家父長のいう事が絶対、女子供に人権無し、★変わった人間がいれば村八分、人間のスケールが小さい・・のような、日本の田舎全般に共通するような風土があるように感じます。それにしても加藤素毛という人物、飛騨地方にしては珍しい、百年に一度の逸材だったようです。(2020/4/5)