大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
調音音声学 |
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私:昨日と今日、二つの原稿を書いたが、なんだか味気なかったな。「なぜ有声歯茎破裂音なのか」「なぜ有声軟口蓋破裂音なのか」 君:いくら自分自身の原稿でも単なるコピペではねえ。ほほほ 私:著作権には抵触しないが、実は学問の世界でこれをやると、甚だしくは学会から追放される事がある。キーワードは「二重投稿」。 君:つまりは、ほとんど同じ内容の原稿をあちらこちらの雑誌に投稿して数を稼いではいけない、という事ね。 私:その通り。 君:ほほほ、だからあなたこそが二作目を書いて途端に嫌気がさして、三作目は無し、という事にしたのね。 私:そう。「ば」の方が「は」より言いやすい話とか。要は同じ理論になる。要は、無声音は有声音化しやすい、という事。今夜は別の話題だ。言語学、方言学の根本問題、つまりは日本語の音韻にはどんな種類があるか、という議論。 君:いろは48文字、つまりは僧契沖のお話ではなくて。 私:そう。早速始めよう。そもそもが日本語における子音の種類だが・・・ 無声両唇破裂音 パ・ポ 有声両唇破裂音 バ・ボ 有声両唇鼻音 マ・モ 無声歯茎破裂音 タ・ト 有声歯茎破裂音 ダ・ド 有声歯茎鼻音 ナ・ノ 無声硬口蓋破裂音 キャ・キ 有声硬口蓋破裂音 ギャ・ギ 有声硬口蓋鼻音 ニャ・ニ 無声軟口蓋破裂音 カ・コ 有声軟口蓋破裂音 ガ・ゴ 有声軟口蓋鼻音 マンガ・ヘン・キン・テンのン 有声口蓋垂鼻音 アン・オン・ウンのン 有声歯茎はじき音 ラ 特に母音は挟まれた場合 無声両唇摩擦音 ファン 有声両唇摩擦音 かぶる 無声歯茎摩擦音 サ・ソ 有声歯茎摩擦音 ゼ 無声軟口蓋摩擦音 ヒ・ヒャ 有声軟口蓋接近音 ヤ・ュ・ヨ 有声軟口蓋摩擦音 カゴのゴ 無声声門摩擦音 ハヘホの子音 有声声門摩擦音 ハハの二番目のハ、ゴハンのハ 無声歯茎硬口蓋摩擦音 シ・シャ 有声歯茎硬口蓋摩擦音 ジ・ジャ 硬口蓋化 キ・ニ・ミ・リ 破擦音 ナツ・ザル・オチャ・ジャマ おまけ 無声口蓋垂破裂音 無し アラビア語 有声口蓋垂破裂音 無し モンゴル語 有声唇歯鼻音 無し sympho 無声そり舌破裂音 無し インドの言語 有声そり舌破裂音 無し インドの言語 有声そり舌鼻音 無し インドの言語 その他無数 君:ご苦労様。お疲れね。 私:ふう、頭が爆発しそうです。 君:簡単に総括をどうぞ。 私:つまりは日本語を発音するといっても、こんなに複雑な事を誰もが簡単にやってのけているという事だ。 君:つまりは? 私:学歴や肩書で人を評価するのはやめにしよう。日本語をお話しなさるだけで素晴らしいという事。 君:確かにね。 私:しかも一番に尊敬すべきは赤ちゃんだな。 君:確かにね。 私:彼らは文法を知らない。発声器官も未発達。でも頭の中で一生懸命に考えて二、三歳の間に完璧な日本語を話すようになる。ご興味ある方は例えば、針生悦子「赤ちゃんはことばをどう学ぶのか」中公新書ラクレ、などをどうぞ。 君:上記の一覧だけど、おまけにしては少ないわね。 私:勘弁してくれ。限界だ。この数倍、いや数十倍あるだろう。世界には聞いた事の無いような言語があり、それをキチンと解析する学者様、所謂、言語学の神様みたいな人がいらっしゃるのだ。 君:そうでしょうね。ところで「はは母」って実は無声声門摩擦音+有声声門摩擦音なのね。その逆は無いのかしら。 私:はい、有りません。要は声門摩擦音を二回繰り返すのだが、「無声」+「有声」だけが唯一の発音、理由は「無声」+「無声」ではかすれ声、「有声」が二回ではだみ声。 君:「無声」+「有声」は? 私:発音した事がないのでわかりません。多分可能だろう。でも日本人は「無声」+「有声」が自然、神様がそう決めたのです。勘弁してください。 君:「ははは」、これはどうかしら。ほほほ |
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