大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

母音の種類

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私:昨晩の原稿で、日本各地の方言で母音の数は概ね5だが、尾張方言で8、沖縄方言で3、つまりは日本語なのに母音の数が違う事をお話しした。これは主にというか、「単母音」についての議論だったね。
君:ええ。
私:どの言語学の成書にも書かれているような事だが、この際は簡単に記述しておこう。まずは基本。共通語というか標準語、これは名古屋を除き東京・京都・大阪を含む日本の単母音は五個。更には全ての単母音は長く伸ばすことが出来るので、これが「長母音」、アー、イー、とか。だから単母音・長母音合わせて10個。これが名古屋方言では16個になるのかというとそうでもない。
君:それはそうでしょうね。
私:そして二つの単母音が連続する場合を「二重母音」という。愛、甥、などは子音を含まない二重母音だが、当然ながら野菜、白い、なども二重母音という。そして当然ながら二重母音にはパターンというものがあって、日本語の二重母音の数は25ではない。ぶっきらぼうな言い方になるが、概ね、「あい」「おい」「あう」に集約される。
君:多分ね。ほほほ、それに関して「連母音」というのがあるわよ。
私:なんだい、その言い方。「二重母音」と「連母音」は全く別のものです、と言っているようなものじゃないか。
君:「ヤサイ」と普通の速さというか、早口で話すのが二重母音で、「ヤ/サ/イ」というように一つ一つの母音をはっきりと発音するのが連母音ね。
私:そう二重母音「ヤサイ」だが、誰もが何気なく話しているが、明らかに「サ」の音韻つまりは「ア」の母音に始まって「イ」の母音で終わるが、この間は連続した口内発声器官の運動、シームレスという訳だ。
君:連母音が単母音毎の発音なのだから、それ位はわかるわよ。
私:そこで出てくるのが「連母音融合」。例えば飛騨方言では「無い」を「ネー」、「高い」を「タケー」。
君:つまりは別の長母音で代用するのが連母音融合なのね。
私:うん。連母音より過激なのが母音連続だ。
君:過激と言う表現からすると、ブツブツに途切れて話す言葉ね。
私:そうだ。「青い家を覆う」の文章などだね。特に「覆う」は「オーウ」ではいけないでしょう。
君:あら、動ハ四「おほふ覆」だからよね。ほほほ
私:更には鼻母音という言葉もある。「センエン千円」「キンヨウビ金曜日」「ナンア南ア」
君:ほほほ、いくらでも種類はあるわね。
私:うん。それに「半母音」という言葉もある。j w など。つまりはヤ行、ワ行。ヤ行子音は硬口蓋接近音 [j]で、ワ行子音は 両唇接近音 [β]。
君:一言で母音といっても多種なので、アイウエオ五個、という訳にはいかないのね。
私:人ごとに微妙な違いがあるが、最大公約数の音で意思伝達をしているという事か。
君:話す口も大したものなら、聞き分ける耳も大したものよね。ほほほ

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