余程、飛騨方言の歴史考察のコーナーに上梓しようかとも
思ったのですが、あまりにも取るに足らない内容なので
気軽にブログに書き入れる事にしました。
女房詞・にょうぼうことば、をキーワードにネット検索してみてください。
室町時代からの宮中の女官の言葉ですね。
一応はそれらをお読みになったとして少し議論しましょう。
飛騨方言で女房詞の可能性となる語は、
くもじ(=漬物)、おつい(=お汁)、おつけ(=お汁)、
おさい(=お数)、おこわ(=赤飯)、程度でしょうか。
つまりは飛騨方言においては女房詞は無いに近いというわけです。
それでも筆者は幼い頃に共通語で赤飯を大西村では
何故、おこわ、というのか不思議に思っていたのでした。
いわば共通語とも言える大量の女房詞(おなか、おなら、等々)は
おそらくは全て近世以降の、あるいは明治以降の
国語の影響、マスコミの影響という事で使われるようになった
言葉なのでしょうねえ。
例えば、おなら、飛騨方言とて日本語ですから飛騨方言の
語彙には違いないのでしょうが、やはり上代から、へぇ●○、
と言っていたのでしょう。
飛騨の民話、説話などの本数冊におならがテーマの話がいくつか
ありますが、すべて屁の語を用いています。おならは一切、出てきません。
一番短い民話をご紹介しましょう。
むかしなあ、いっつも、じさぁ山ぇ木を切りに、
ばさぁ川ぇせんだくにいったんやとよ。
そやげと、ある日やが、
せんだくにいったばさぁおおきい屁をこいたもんでなあ、
山にいっとったじさぁ草刈った(臭かった)とよ。
しゃみしゃっきり。
これ、実は飛騨方言でのアクセント論にも
鑑みて重要な点があります。
共通語では、草刈った、は○●、○●であり、
臭かった、は○●●○ですね。
ところが飛騨方言では、草刈った・臭かった、
ともに○●○○で決まりです。
しゃみしゃっきり。
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