大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

マルチリンガル multilingual

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私:マルチリンガルは脳の発達にいいのか、悪いのかという命題について。
君:日本では初等教育に英語を入れてこなかったけれど、小学校で英語を教える時代だから、文部省のお考えは自明という事かしら。
私:脳発達の基礎は国語。きちんと国語を学ばせる事が重要、脳容量が限られている未熟な脳に二つの言語を教えると負荷が増して教育効果が表れないどころかマイナス効果になる、という古典的考えは過去のものとなった。

君:つまり、鉄は熱いうちに打て、という事ね。
私:その通り。子供の脳の発達は無限、子供が二か国語を学ぶと一か国語の習得は半分になるのでは、などと考えなくてもよろしいという事のようだ。
君:習得する言語が複数のほうが脳の灰白質が増加する、つまり賢くなる、って本当かしら。
私:個人差があまりにも大きいね。日本人で普通にバイリンガルと言えば、東京語を必死で覚えたけれど、生まれ育った田舎の言葉はスラスラと話せるという事でしょ。

君:あまり茶化さないでよ。
私:コホン、left hemisphere dominance で言語野および文法中枢があるが、社会人になってあっという間に東京語をマスターするのは右大脳半球のなせる技、元来は右脳に岐阜アクセントがあったが、右脳にあっという間に東京語アクセントを形成、つまりはコードスイッチング code switching が出来る脳になったという事。つまりは、かなり短期間に賢くなったという事だ。
君:怖くて恥ずかしくてつらい思いもしたけれど、ちゃんと得るものはあったのね。
私:その通り。何よりも賢くなったというのがいいね。英語力に余力のある読者様には更におみやげを。Umejima, K., Flynn, S. & Sakai, K.L. Enhanced activations in syntax-related regions for multilinguals while acquiring a new language. Sci Rep 11, 7296 (2021).
君:あら、酒井先生じゃないの。
私:相変わらず fMRI で頑張っていらっしゃる。方法論的な限界というものをお考えではないようだ。
君:難しい内容だわ。一言で要約してね。
私:バイリンガルどころか、複数の言語に秀でた人の脳のほうが優れている。人間はなるべく多くの外国語を学ぶべき。
君:凡人レベルだと沢山のものを器用にこなせる人か勝ちね。ほほほ

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