大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
副詞の定義 |
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私:つまらない話と言えばそれまでだが、副詞とはそもそも。 君:中学生でも知っている定義といえば、語形変化を伴わず用言を修飾する品詞。 私:今日行きます・リンゴを三つ買う・友人が多数出席した。これって副詞? 君:副詞じゃないわね。名詞と数詞よ。今日は出発日・三つのリンゴ・多数の出席者。 私:うん、この程度なら異論は無い。にわか勉強になるが日本語における副詞の歴史をサラリとおさらいしよう。いつから? 君:西洋の言語学が輸入されて、国文法の父・山田孝雄先生の発明といったところね。 私:そりゃあ最近の話だよ。室町初期に「姉小路式(あねがこうじしき)」という13巻から成る語学書が刊行された。作者不詳。「魂を入るべきてにをは」の記載があり、これをもって日本語に於ける副詞研究の夜明けとする、というのが学会の考え。原本は失われたらしいが、数々の別名を冠した写本があり、東大が所有する歌道秘蔵録が有名。そして江戸時代の国学。 君:本居宣長ね。 私:いや違う。富士谷成章(ふじたになりあきら)。本居宣長と同年代の人だが、富士谷成章の五巻六冊の文法書・あゆひ抄。これが山田孝雄に多大な影響を与えた。明治以降は副詞の名称が広く一般に採用されるようになったが、定義や語彙の範囲については現在に至るまで異同が大きい。山田は副用語という言葉を用いた。簡単にひと言、山田の定義はなんでもかんでも副詞、つまりは副詞を「はきだめ」と考え、細分類を試み、その考えは現代に生きているが、橋本文法、所謂学校文法では形動タリナリを副詞とは認めていない。 君:随分と、ゴチャゴチャと、あれこれ書いてくださったわね。総括をお願いね。 私:おっとそうきたか、副詞攻め。徹底的に品詞解析すると副詞という概念は不要、つまりは副詞は各種の品詞の寄せ集めだ。 君:例文があるといいわよ。 私:お袋がよく言う。「ながいうち(=長い間)ご苦労さん」。 君:「ながいうち」は苦労也の用言を修飾する副詞よね。 私:そう。長い間の論争、とは言うが、長いうちの論争とは言わない。長い間ご苦労様というが、アヒダ間とウチ内は別の言葉。 君:そんな事いいから、徹底的に品詞分解のお話は? 私:ふふふ 君:? 私:分解なんて言ってないぜ。解析だ。 君:・・なるほど。分解もあれば省略もあるわね。 私:そう。「長いうち」は「長いうちにて」の略だ。「に」がこれまた問題。 君:格助詞「に」と教えておけばいいのよ。 私:自ラ四「なる」連用形かも知れないよ。ラ変助動詞「なり」連用形かも知れない。 君:ほほほ、左七君って、なに様? 私:アマチュアだな。素人と言ってもいい。 君:お大事に。山田文法では全ての形動ナリ連用形は副詞になるのね。ほほほ 私:転成副詞というんだよ。「はきだめ」と言われる所以。これ、入試ではアウトでしょ。 君:やはり副詞の存在そのものを疑ってみたほうがよさそうね。ほほほ |
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