大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音声学 |
異音(allophone) |
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私:さりげなく聴き話す日本語というものだが、突き詰めて考え見たい。音素論という学問がある。音をこれ以上は分解できませんよ、という程度に分解してみる事だが、早い話が母音と子音の事。表記のルールがあって、例えば、か、は /ka/と表現し、二つの音素、|k|と|a|、というように表現する。異音 allophone とは、違う音素という意味だ。そして vocaloid 初音ミクが話すのは、あるいは歌うのは、di-allophone 、つまり違う音素の組み合わせ、これをひたすら付け足して滑らかにしたものという事らしい。このつなぎ合わせ作業の事を波形接続合成(英: concatenative synthesis; あるいは素片接続型、素片連結方式、連結的合成)という。 君:vocaloid にはまずは音素のライブラリーがあり、それを参照して声を作るという意味ね。 私:その通り。そもそもがそのライブラリーがどうやって作られるのかといえば、実際の人の声をまずはぶつ切りにして音素のライブラリーを作る。続いては任意の音素二個の組み合わせのライブラリーを作る。例えば/sashichi/という音を作りたければ、|s|と|a|の組み合わせのデータを見て、|a|と|sh|の組み合わせのデータを見て、、|sh|と|i|の組み合わせのデータを見て、・・・というような事を繰り返し、つなぎ目をなくせば「佐七」という音声ができる。 君:歌わせるのは周波数の上げ下げと長さの調節という事ね。 私:その通り。人間が話す言葉にしても、実は同様の事を無意識に行っている。これを韻律 prosody という。つまりは人が話す事と歌う事に本質的な違いはない。 君:あら、歌にだって間奏・ナレーションがあるわよ。ところで二つの大脳半球で言語野は片方にしかなかったわね。 私:とてもいい質問だ。優位半球にしかない。ふつうは左大脳半球。右利き成人の95%程度は左半球優位であり、左利き成人では60〜70%程度が左半球優位。 君:劣位半球もアクセントを含め韻律に関わったり、あるいはユーモアを理解する機能とか、結構、高等なことをしているのよね。 私:その通り。ところが聴覚野は左右対称じゃないのかな。両大脳半球ともに両耳の情報を同時に得ているのだから。 君:両耳で聴くと音を立体的に感ずる事が出来るのはそのためね。 私:片方の耳をふさぐと途端に立体音を感じない。つまりは音源からの空気振動が左右の耳へ到達する僅かの時間差を処理しているわけだ。脳ってすごいね。 君:目をつぶっても、両耳で聞いている限りは、音が左側なのか右側なのか、ピタリとわかるわね。 私:とても大切なことがある。特に老人になると。 君:? 私:耳垢掃除だ。江戸っ子なら、耳の穴かっぽじってちゃんと聴きやがれ、ってなところだな。Listen to the patient. He is telling you the diagnosis. 君:耳鳴りが始まる年代よね。あれって実は耳の病気ではなくて脳の病気なのよね。やれやれ |
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