大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音声学 |
調音(articulation) |
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私:とかくこの世は三要素。音声学も三つの柱からなっている。 君:音声学の下位分類は三つというわけね。 私:その通り。音声とは空気の振動だが、ヒトはどうやって音声を発するのだろう。これを考えるのが★調音音声学 articulatory phonetics。空気の振動そのものを研究するのが音響音声学。またヒトはどうやってその空気の振動を知覚するのだろう。これを考えるのが聴覚音声学。 君:各国言語に共通の人類にとって普遍的な意味を持つ言葉の仕組みを、発声・伝搬・知覚、この三つの過程において考えるというわけね。 私:その通りだ。声は口から出るが、★調音器官 articulatory organ という言葉があり声門から唇までの発声に関わるすべての解剖学的パーツを総称した言葉だ。或いは音声器官ともいう。 君:★調音点という言葉を聞いたけれど。 私:確かにね。これは主にというか、子音に関して用いられる。子音は調音器官のなかでもピンポイントで一か所が狭い所を作って発する音声の事だから、この狭くなった場所の事。英語は the place of articulation 。articulation point という言葉もあるが、これは解剖学でいうところの関節、つまり骨と骨が癒合せず自由に曲がれる場所、の事を示すのが一般的なので用いないほうがいいね。最近では調音点という言葉を嫌い、★調音(の)場所と書かれている本もある。まだ他にも調音に関する言葉はある。 君:どんな? 私:★調音法。調音の方法、早い話が声の出し方という意味。調音器官のどの部分をどのように使って声を出すのかか、という事。★調音の方法、★調音様式、と呼ばれる事もある。 君:早い話が発音という事じゃないの。 私:意味は同じだね。蛇足ながら★調音の速さ、という言葉もある。 君:発音の速さ、つまりは早口かそうでないかという事ね。 私:要はそういう事。以上が音声学の話。英語一般となると、アナウンサーや歌手は声がいいね、という意味で good articulation などと言う事があるな。言語学では分節(発話の各部分を有意味な言語音に分けること)を示す。音楽でも調音という言葉を使う。調律と同じ意味かな。 articulation は医学的には関節の接合の事を示すのが普通。 君:調音は要するに多義語ね。 ほほほ |
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