大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音声学

カタセシス catathesis

戻る

私:今日はアクセントのお話。カタセシス catathesis。
君:それって日本語訳がない言葉ね。
私:発表が米国人だからね。
The phonetics and phonology of tone and intonation in Japanese/ Poser, William John Thesis, Cambridge, MA: MIT. 1984
Japanese tone structure (Linguistic Inquiry Monograph 15). / Janet B. Pierrehumbert and Mary E. Beckman Cambridge, MA & London: MIT Press, 1988. Pp. xi + 282.
君:簡単に一言で説明してね。
私:我々日本人がさりげなく話していてなかなか気づかない事を、これらの言語学者さん達がお気づきになった。cata は下降の意味。カタログなんて言葉があるがABC順にひたすら順番通りに並べられたリストの事を示す。thesis は理論構築とか、創造みたいな意味。つまり一言で、カタセシスとは下降調のアクセントという意味。
君:あらら、一つの単語にあけるアクセントではなく、文章や文節など、うーんと長い言葉に当てあはまるピッチ変化の事ね。
私:そう。肯定文では下がり調子、疑問文は上がり調子、これは各国語に共通だ。つまりは肯定文における文章のイントネーションのようなもの。
君:例をお願いね。
私:青い海、これは、あおい(中高)+うみ(頭高)だからアクセント核が二つ、つまりはふたこぶラクダだが、それでも全体としては下がり調子、つまりは「オ」より「ウ」が低くなるんだ。
君:なるほどね。
私:ところが、赤い豆、この場合、あかい(平板)+まめ(尾高)、つまり、アクセント核は「メ」。ところが、赤い豆を食べた、この文章の場合、「メ」と「ベ」にアクセント核があり、ふたこぶラクダの形だが、「メ」より「ベ」は低くなる。
君:うーん、つまりは肯定文に幾つかのアクセント核があっても最初のアクセント核が一番にピッチが高くて、次から次へと現れる続くアクセント核は一つ前のアクセント核に比しピッチが必ず下がるというわけね。
私:そう。一番高いところをプロミネンスという。アクセント核の連山があって、その中の最高峰という意味。
君:つまりはプロミネンスに続いて、多少のピッチの変動はあるにせよ、徐々に減じていくという意味ね。
私:如何にも。
君:簡単すぎる事だけれど、米国人は気づいても、我々は無意識に日本語を話すので日本人がゆえに返って気づきにくかったのね。 ほほほ

ページ先頭に戻る