大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音声学

曖昧(あいまい)母音 mid central vowel

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私:各国の言語において、何と言っても五つの母音 /a/ /e/ /i/ /o/ /u/ は基本だが、実はこれらの母音がアクセント核を持たない場合は、その母音は曖昧母音といい、スペル通りには発音されない。英語に限ると schwa で代表される。これが最頻らしいので。曖昧母音は IPA では mid central vowel と言い、その発音記号は e を180度回転された記号。英語では lazy vowel, murmur vowel, indeterminate vowel, neutral vowel, obscure vowel, natural vowel などの言い方があるようだ。
君:字面通りに発音すると返って英語の発音らしくない、という事ね。
私:そう、英語の発音のポイントとしては何と言ってもアクセント核だ。ここだけは五つの母音を意識してはっきりと発音する事が肝要。その他の母音はすべて曖昧母音でいけ、という実にぶっきらぼうな話。もっとぶっきらぼうな言い方としては、アクセント核以外は母音を意識せずに子音のみを意識する事。
君:学校教育では教えないわね。
私:うん、教わった記憶がない。実践できない英語教師も多いだろう。基本中の基本としては、英語はトーンアクセント(強弱アクセント)なので、通常は名詞、動詞、形容詞、副詞など意味を伝える単語は強く発音し、助動詞、前置詞、be動詞、冠詞など、文法的な役割はあるもののあまり重要な意味を表していない単語は弱く発音する事。この中でもアクセント核のない母音は曖昧母音で話すと如何にもネイティブらしい英語になるんだね。ワンポイントレッスンとしては、曖昧母音は/イ/ではなく/エ/にする事。/オーベイビー/ではなく/オーベイベ/。
君:日本語に曖昧母音はあるのかしら。
私:ありません。日本語の母音で一番に多いのが尾張方言で8個もあるが、それでも曖昧母音はない。尾張方言のプラス3個の母音は、/ウミャー/(美味い)、に代表されるような連母音だね。
君:ところで曖昧母音が一番に多い言語は?
私:そりゃあ英語だね。言語人口からいってもぶっちぎり第一位かな。勿論、世界各国語に広く曖昧母音がみられるようだ。
君:いけいけ曖昧母音、実は英語の発音はそんなに難しくない、と言う事じゃないかしら。 ほほほ

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