大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音韻学 |
ちょうな(手斧・釿) |
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私:ちょうな(手斧・釿)は実は共通語といってもいいかも知れない。というか、それ以前の問題として、共通語としても死語に近い。鍬のような形の斧で、大工道具のひとつ。振りかざして丸い木材を平面化する道具。 君:当然ながら飛騨方言としても死語。 私:大事な大工道具として戦前・戦後あたりには飛騨でも活躍していたのじゃないかな。道ような覚えはある。木臼を作るのには必須の道具のようだ。 君:民俗学のお話でなく、音韻学のお話ね。 私:そう。ちょうな、の語源は、てをの手斧、から来ているらしい。その辺のお話から。 君:古代からあった道具なのよね。 私:そう。石器時代から世界各地で。鉄器の時代になり、刃先は鉄製品にとって代わられた。日本でも。 君:鉄も大陸から伝わったのよね。 私:日本に鉄器が入ってきたのは、紀元前300年頃から始まる弥生時代。倭国が弁韓の鉄を買い求めたのが始まり。 君:国語学、音韻学に絞ってお話おねがい。 私:うん。て手、をの斧、共に和語。万葉集にある。従って古代語では、てをの、と呼ばれていたのは間違いないと思う。古代の日本語の音韻に開拗音は存在しない。古代の日本人は、ちゃ・ちゅ・ちょ、が発音できなかった。開拗音は漢字由来の外来音声として日本語音声に定着した。 君:鉄の伝来より漢字の伝来のほうが後の時代という事ね。それ以前の問題として、古代語として弥生時代から、てをの、と発音されていたという事かしら。 私:そう。一旦、開拗音となると後には戻らない。ちょーな、および其の音韻変化は全国の方言に痕跡として残っている。 君:まずは、ちょーの、に音韻変化したようね。それがいつの間にか、ちょーな、という音韻にという事かしら。 私:だと思うね。地域は省くが、チューナ、チューノ、チュノ、チョノ、チョーノ、チョーノー、チョンナ、チョンノ、の音韻に分化した。 君:ておの、の音韻は後世の音韻で、チョーナとは別物。先祖返りという事ではなさそうね。ほほほ |
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