飛騨方言の訛りは、といえば、やはり濁音が多い、にごっている、と感ぜられるのではないかと
筆者なりに推察いたします。
と言う事なのですが、実は編集しております佐七辞書に載せたくても載せられない、恣意的ではないかというご批判を
恐れて掲載していない単語がおそらく数百以上、あります。
もったいぶった事は抜きにして、筆者なりに気がつきますに飛騨方言には動詞、形容詞などで、カ行の音が含まれる単語ですが、
これが実は、ガ行に置き換わっている事が多いのです。
か−>が、の例
飛騨出身の方々へ、例えば、
赤い橋、高い山、というフレーズですが、あがいはし、たがいやま、と唱えてみても
飛騨方言のセンスにあっていると思いませんか。勿論、が、は鼻に抜ける音ではなく、口内の破裂音です。
き−>ぎ、の例
飛騨出身の方々へ、例えば、
こりゃいつまでねとるんじゃ、はようおきよ(=こら、いつまで寝ているのだ、早く起きなさい)、というフレーズですが、こりゃいつまでねとるんじゃ、はようおぎよ、と唱えてみても
飛騨方言のセンスにあっていると思いませんか。勿論、ぎ、は鼻に抜ける音ではなく、口内の破裂音です。
く−>ぐ、の例
飛騨出身の方々へ、例えば、
こりゃそっちゃあぶねえでいくんでねえぞ(=こら、そちらは危ないから行くのじゃないよ)、
というフレーズですが、こりゃそっちゃあぶねえでいぐんでねえぞ、と唱えてみても
飛騨方言のセンスにあっていると思いませんか。勿論、ぐ、は鼻に抜ける音ではなく、口内の破裂音です。
け−>げ、の例
飛騨出身の方々へ、例えば、
急に来いなんてたってすぐにゃあいけん(=急に来いなんていってもすぐにはいけない)、
というフレーズですが、急に来いなんてたってすぐにゃあいげん、と唱えてみても
飛騨方言のセンスにあっていると思いませんか。勿論、げ、は鼻に抜ける音ではなく、口内の破裂音です。
こ−>ご、の例
飛騨出身の方々へ、例えば、
とうちゃんぁまっかな顔しておこっとる(=父さんが真っ赤な顔をして怒っている)、
というフレーズですが、とうちゃんぁまっかな顔しておごっとる、と唱えてみても
飛騨方言のセンスにあっていると思いませんか。勿論、ご、は鼻に抜ける音ではなく、口内の破裂音です。
以上、ホンの五例を挙げてみましたが、ほとんどの動詞、形容詞で、カ行の音があれば、ガ行の音に
変換しても飛騨方言のセンスにあう、むしろ正しい表記になっていると私は確信します。
が、あえて、恣意的に佐七辞書に掲載はしません。掲載したとて何になる、数多きが故に尊からず。
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