大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言における接続助詞・て(で)、に接続する動詞・行く、おる、の訛り現象

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飛騨方言では、動詞の行く、と、おる、が、接続助詞・て(で)、に後続する場合に、 以下のように訛ってしまうようです。他の動詞の場合は訛りはないようです。 例えば、て+ある(言ってある)、て+浮く(開いて浮く)、などは飛騨方言も共通語と同じです。
活用 共通語     飛騨方言   濁音数(*)
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て+行く
未然 歩いていかぬと 歩いてかんと 0
未然 歩いていかぬと 歩いでかんと 1
未然 歩いていかぬと 歩いでがんと 2 
連用 歩いていって  歩いてって  0
連用 歩いていって  歩いでって  1
終止 歩いていく   歩いてく   0
終止 歩いていく   歩いでく   1
終止 歩いていく   歩いでぐ   2
連体 歩いていく   歩いてく   0
連体 歩いていく   歩いでく   1
連体 歩いていく   歩いでぐ   2
仮定 歩いていけば  歩いてきゃ  0
仮定 歩いていけば  歩いできゃ  1
仮定 歩いていけば  歩いでぎゃ  2
命令 歩いていけ   歩いてけ   0
命令 歩いていけ   歩いでけ   1
命令 歩いていけ   歩いでげ   2

で+行く 
未然 並んでいかぬと 並んでかんと 0 
未然 並んでいかぬと 並んでがんと 1
連用 並んでいって  並んでって  0
終止 並んでいく   並んでく   0
終止 並んでいく   並んでぐ   1
連体 並んでいく   並んでく   0
連体 並んでいく   並んでぐ   1
仮定 並んでいけば  並んできゃ  0
仮定 並んでいけば  並んでぎゃ  1
命令 並んでいけ   並んでけ   0
命令 並んでいけ   並んでげ   1

て+おる 
未然 来ておらぬと  きとらんと  0
連用 来ておって   きとって   0
終止 来ておる    きとる    0
連体 来ておる    きとる    0
仮定 来ておれば   きとりゃ   0
命令 来ておれ    きとれ    0

て+おる 
未然 泣いておらぬと 泣いとらんと 0
未然 泣いておらぬと 泣いどらんと 1
連用 泣いておって  泣いとって  0
連用 泣いておって  泣いどって  1
終止 泣いておる   泣いとる   0
終止 泣いておる   泣いどる   1
連体 泣いておる   泣いとる   0
連体 泣いておる   泣いどる   1
仮定 泣いておれば  泣いとりゃ  0
仮定 泣いておれば  泣いどりゃ  1
命令 泣いておれ   泣いとれ   0
命令 泣いておれ   泣いどれ   1

で+おる 
未然 編んでおらぬと 編んどらんと 0
連用 編んでおって  編んどって  0
終止 編んでおる   編んどる   0
連体 編んでおる   編んどる   0
仮定 編んでおれば  編んどりゃ  0
命令 編んでおれ   編んどれ   0
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(*)句の中の濁音の総数ではなく、飛騨方言の言い回しとして 新たに増加する濁音の数を示す。

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