詳しく検討はしていないのですが、どこのお国言葉もおそらくそうなのでしょう、
言葉遣いにはっきりとした男女差があり、男性は男性らしく女性は女性らしいという
言わば当たり前の現象を飛騨方言についても以下に論述します。
この前置きで既に結論が見えた方は、そしゃ ( = So much for today. )。
さて、そうなんやさ、は主に女性が話し、意味は、そうなのよ、品詞分解は
指示代名詞・そう
+伝聞の助動詞・なり、の連体形撥音便
+指定の助動詞・や終止形
+方言文末詞・さ、
という事になるのでしょう。
そして、そうなんやさ、は濁音がなく、S音とN音から構成されます。
感覚質とは、受ける感じ・印象を意味する哲学の用語です。
まずは、S音は舌の上を滑らせた息を歯に当てて擦るり歯の隙間から
抜けさせる音で、ソの音は健やかさ、サの音は爽快感、のが強調されます。
N音は上あごに舌全体を密着させ鼻腔音を発しつつ舌をはがす事により発音しますが、
滑らか、密着感、粘り気のとなります。
飛騨の女性が用いる同じ意味の言い回しに、そうなんやえな、がありますが同様です。
やはりS音+N音のの慣用表現になり女性らしい質感の言葉といえましょう。
更には飛騨の女性がよく用いる方言文末詞に、な、なあ、があります。
上記の言い回しは、そうなんやさな、あるいは、そうなんやさなあ、とも
置き換えられます。
"そうなんやえな、なあ。"という言葉も飛騨の女性は用います。
これらを総括しますと飛騨方言における女性の言い回しは
S音+N音をたたみかけて、両者の語感が強調される言語にて、
女性らしさが明らかであり、女性が話すのに楽でここちよい方言なのでしょう。
参考文献 "怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか" 黒川伊保子著 新潮新書
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