大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音韻学

にか(=ないか、文末詞)

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私:今は2024の一月だが、かつてのNHK連ドラさくら、これが再放送されている。そこで出てきた台詞が、にか(=ないか、文末詞)。ほんの一瞬の場面だった。
君:再放送以来、あまり収穫が無かったのに、やっと収穫があったのね。
私:その通り。この文末詞、今までなかなか気づく事が出来ないでいた。
君:連母音が短母音になるだけのお話という事ではなさそうね。
私:音韻学的にはそれでいいんだが、「ないか」と言えば念押しの意味。従って飛騨方言文末詞「にか」も念押しの意味だ。
君:文例は?
私:共通語の、いいじゃないか、が飛騨方言では、いいじゃにか、になる。「にか」にアクセント核は無い。必ず平板。当然ながら文末にしかこない。
君:接続則、つまりは文法的解釈が必要ね。
私:疑問文「ないか」が飛騨方言で「にか」になる事ばあり得ない。飛騨方言文末詞「にか」は念押しの意味にだけ用いられ、疑問文「ないか」のように尾高アクセントになる事はない。
君:念押し、ともいうし、断定の表現ともいうわね。
私:そう。断定文。コピュラ文にのみ使われる。
君:コピュラ?
私:世界の言語にも自ずと共通則がある。典型例が A=B という文。二つの内容が同一であると主張する文章。
君:「ないか」というのに、意味的には「である」とはこれ如何に。
私:助動詞や否定の形容詞ではないという事だね。感動詞「なあ」辺りからきたものかな?
君:そうやにか。 ほほほ

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