大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
あいまち |
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私:飛騨方言の多義語・あいまち、これは古語「あやまち過」の音韻変化。飛騨方言では古語に同じく二つの意味を持つ(間違い・誤り、怪我)。古語では男女の不義の意味もあるようで、意味は三つになるのかな。 君:流石に現代語の共通語では怪我の事を「あやまち」とはいわないわね。 私:その通り。古語で多義語、つまりは古代の中央で多義語であったものがそのまま地方に伝わり、そうこうしている間に中央では意味がひとつになる場合、飛騨方言としての多義性が注目に値するという現象だね。古語では、まずは他タ四・あやまつ、があり、これの連用形で名詞が出来て間違いの意味からスタートした。万葉に例がある。ものの弾みによる怪我の意味では平家に出てくる。人格的・社会的に破滅に至るという意味では徒然に出てくる。時代と共に意味が増えているね。 君:飛騨方言では平家の語法が残っているという意味ね。 私:まあね。鎌倉以降には中央ではその意味がなくなったのでしょう。真相は不明。飛騨方言では「あいまちせる」というサ変動詞になる事もある。 君:中央では「あやまち」が廃れて「あやまり」が主流になったのじゃないかしら。 私:それはとてもいい質問だ。「誤る」から「謝る」が生まれたのが後の時代の中世・近世にて、日葡・浄瑠璃などに例がある。更には、蛇足ながら謝罪の意味で謝の漢字を当てるのが一般化するのは近代以降です。 君:「あやまち(怪我)」は当然ながら全国共通方言よね。 私:その通り。全国津々浦々。音韻変化は、やーまち・やまつ・やまず・あまえじ・あめんじ、等々。 君:そちらのほうが余程、ディープな話題ね。 ほほほ |
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