大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

あかる

戻る

私:飛騨方言に可能動詞「あかる」というものがある。口語五段活用のラ行自動詞。英語では can be opened 、つまり「あかる」は「あけられる」の意味になる。ところがどっこい、この飛騨方言可能動詞にいつのまにか単なる自動詞の意味 opens or be opening が加わってしまった。要は、飛騨方言「あかる」は「あけられる・あく(あいている)」の両方の意味を持つ多義語になってしまっている。
君:この可能動詞って飛騨の俚言かしら。
私:おっしゃる通り。これこそ飛騨弁。絶対に東京や大阪では使わないでください。可能動詞って共通語形じゃないからね。飛騨なんていうド田舎出身である事を見破られないように・・使わないほうがいいね。いや、使っちゃいけない。
君:ぶつくさ言っていないで、文例をお願いね。
私:「このドアはあかる」と言えば、「ドアは(鍵がかかっていないので)開けようと思えば開けられます」という意味。「ドアがあかっている」、これは「ドアがあいている」という意味であり、可能の意味は無い。「ドアがあかる」、これこそ多義語であり、「ドアが開けられる」の意味か、「ドアが(自然に)開く」の意味か、判然としないね。
君:説明が長すぎよ。一言で説明してね。
私:ほいきた。飛騨ではそもそもが可能動詞であった「あかる」だか、やがて可能の意味がなくなってしまったという事。
君:ほかに言いたい事は?
私:共通語の影響ってあるのじゃないかな。「さがる・さげる」とか。ところが飛騨方言「たばる」は相変わらず「食べる事ができる」の意味だ。当然と言えば当然、古語たぶ・口語たべる、共に他動詞であり、そもそもが対語たる自動詞は存在しない。
君:重要点と言えば、可能動詞は自動詞になりやすく、自他対のない他動詞は飛騨方言に限っては可能動詞は意味が固定という事ね。 ほほほ

ページ先頭に戻る/