大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 多義語 |
あぬかさ |
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私:飛騨方言一般名詞「あぬかさ」だが、意味は「あおむけ」。これが多義語になっている。 君:「あおむけ」の対語は「うつぶせ」なので、まさか「あぬかさ」が対語をも含む多義語になってしまったという事かしら。 私:要はそういう事。あぬかさで寝る、と言えば仰臥位で寝る事だが、これがいつの間にやら意味が逆転、伏臥位で寝る事も示すようになった。 君:そんなへんてこりんな言い方は飛騨方言だけよね。 私:その通り。仰臥位であれ、伏臥位であれ、正反対の姿勢で寝る、という意味の語法だと思う。土田吉左衛門・飛騨のことば「瓶をあぬかさにすると零れる」という文例があった。瓶は口を上向きにするのが普通なので、この場合は、口を下にする、との意味だね。 君:寝る姿は人さまざまでしょうけれど、仰臥位が一般的じゃないかしら。 私:そうだね。ただし、正確な情報伝達という意味では、飛騨方言「あぬかさ」は実は「正反対」という唯一の意味であり、方向については会話の流れで判断するのがいいね。 君:古代は、あふのく・うつぶく、の対語で、近世は、あおむく・うつむく、で混同は無いわね。 ほほほ |
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